lovesick


□第38話
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「それでも私……、この人に助けられた…。」


――それでも私たちはあの人に創られた。


「大好きだった……。」


――大好きなんだ。







「ごめんなさい…私…。」


洞窟にたどり着いたナツとシャルルを待っていたのは涙で顔を濡らすウェンディとハッピーにぐったりと横たわるミオ、そしてその二人と一匹を連れ去ったブレイン。

そして、楽園の塔であったジェラールその人だった。


「ジェラール……。」

「ごめん…なさい…。この人は私の、恩人…なの。」

「ウェンディ!あんた治癒の魔法使ったの!?
何やってんのよ!その力を無闇に使ったら…、」


そのシャルルの後に続くであろう言葉がウェンディの体にあらわれたのだろう。
大した受け身をとることもできず、ウェンディはそのまま地面に倒れこんだ。


「な…なんでお前がこんなところに…、ジェラアアアアル!!!」


思い出すのはあの楽園の塔でのエルザの涙だ。
ウェンディを救出するという目的も周りの状況も全て見えなくなったナツはその拳に炎をまといジェラールへと飛びかかった。
しかしそれは易々とジェラールに吹き飛ばされる。


「うあああっ!!」

「ナツ!!!」


その絶大な威力を誇った攻撃のせいで洞窟の床の一部は崩れナツがそこに落ちる。


「相変わらずすさまじい魔力だな、ジェラール。」


ブレインは背後からジェラールへと近づいた。しかし振り返ったジェラールの瞳は同志を見るようなそれではなく、何も意図がわからない不思議なもので。

腕を横に一閃するとブレインの足場は崩された。



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