lovesick
□第37話
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「ミオっ!!」
たった一言だった。
「グレ……イ。」
仲間のたったその一声は少女に意識をもたらした。
我にかえった少女の目にうつるのは先ほどと変わらない仲間の劣勢と、自身が手にもった六魔将軍の一人。そして明らかに自分を警戒している他の六魔将軍。
――知られた。
と瞬時に悟った。
自分がこれをやったのだと理解した。
「あ……。」
そしてその一瞬を見逃すほど六魔将軍も柔ではなかった。
レーサーはすぐに少女の腕から脱け出すとその腹部に足を薙ぎ少女の意識を奪う。
「まさか暴走するとは…。まぁ、想定外ではあったが問題もない。天空の巫女もろともいただいていこう。」
「天空の……、」
「巫女?」
ブレインは再びウェンディをその杖で捕らえる。ウェンディを起こそうと近づいていた猫のうちの一匹ハッピーがしかりとウェンディに捕まれた状態のまま。
「あ。」
「あれ?」
「うぬらにもう用はない、消えよ!!」
ブレインの杖から何度ともしれない攻撃が放たれた。
連合軍はとっさに地面へと伏せ、その衝撃を待つ。しかし突如彼らの前にその大きな体で立った人がいた。
「岩鉄壁!!」
ホットアイによって隆起した地面から円柱のようなものが次々と生えてくる。
それらはブレインの魔法を防いだ。
「ジュラ様!」
「おおおっ!!!」
「すごいや!」
「ありがとう、助かったよ。」
「……あんたも何気にありがと。」
遅れて登場した見方の姿に安堵の表情があらわれる。
魔法の衝撃で削られた岩から砂煙が舞った。それが晴れると同時にナツが六魔将軍を探したが、その姿はなかった。
「完全にやられた。」
レンが呟いたその一言が全てだった。
連合軍はボロボロ、あげくにはミオとウェンディとハッピーが拐われた。加えてエルザの服毒による極めて危険な状態。
状況は絶望的だった。
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