lovesick


□第37話
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「《魔力の泉》なのだから!」


《魔力の泉》――…。黒魔導士ゼレフの最高傑作といわれる魔法の片割れ。

今回連合軍には六魔将軍の討伐とその2つの魔法を見つけ出すという目的があった。

しかしその内の1つが自分達の近くに、しかも味方としていたということはそれだけで連合軍内に何かしらの感情を抱かせ沈黙を生ませた。その場に響く声は六魔将軍の会話だけ。

この状況は不安定だった。一人の少女の精神を揺さぶるには十分すぎた。


「×××××っ!――××っ!!」


突如聞こえたその声は人のそれとは形容しがたいものだった。

夥しい量の決して綺麗とは言えそうにない魔力が少女の体から溢れだした。

ひゅっ、と何人かの息が止まった。


「――××っ!!」


少女を戒めていた魔法は紙を破くように少女に敗れた。

一緒に捕まっていたウェンディが「きゃっ…っ!」と尻餅をつく。少女はそれを一瞥もせずにブレインへと距離をつめた。

すぐさまブレインの前にレーサーが割り込み少女と対峙する。今ここにいる誰もが見えないスピードでレーサーは少女を攻撃した。

――否、しようとした。

レーサーが降り下ろしてきた足を少女はぎりりと掴んだ。前にもあったその光景。レーサーはにもかかわらず警戒を怠ったのだ。

しかしその威力は先ほどの比ではない。少女はあろうことか手にもったレーサーを地面へと叩きつけた。力が集約されているのかそこだけ地面が陥没する

六魔全体に緊張がはしった。

コブラは耳を澄ませエンジェルは鍵を構えホットアイは魔力を練り、ミッドナイトも起きることはなかったがその体をぴくりと震わせた。

しかしそれは無駄に終わる。


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