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□第34話
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「《魔力の墓場》って?」


そう口に出したのはルーシィだったが、他にもよくわかっていない人は多いらしくしっかりと説明を聞く姿勢をとっていた。

指先から血の気が引いていくような感覚がする。


「《魔力の墓場》っていうのは、あの黒魔導士ゼレフの最高傑作といわれる二つの魔法の内の一つだ。……いや、一つの魔法の片割れと言ったほうがいいのかもしれない。」

「ゼレフって、ララバイとかデリオラの…!?」

「ああ。ララバイやデリオラ…後に悪魔と呼ばれるものたちは、それに至るまでの失敗作だと言われている。」

「あれが失敗作!?」

「その《魔力の墓場》ってどんだけヤバイのよ!!」


古文書を扱うゆえか、ここでも天馬のヒビキが説明を引き受けていた。

私はその説明に私に繋がるようなものがないか耳をすませる。


「《魔力の墓場》の対に《魔力の泉》という存在もいるんだ。
二つは瓜二つの人間の女の体をしているらしい。」

「人間の姿だと…!?」

「それじゃあ魔法かどうかわかりませんわ…!」


シェリーは写真のようなものはないのかとヒビキに言うが、どうやら記録にはないらしい。

周りが暗い表情をするなか私はポーカーフェイスを決め込みながら心の中で安堵していた。


「《魔力の墓場》があるということは《魔力の泉》も近くにある可能性が高い…!」


ここにいます。と心の中でおどけてみても体の冷や汗は止まらない。


「二つの力は未知数で能力についても何百年前の言い伝えを頼りに推測するしかない。
僕の魔法で情報を送る。六魔将軍も狙っているというから平行して探してくれ!」


脳内に入ってくる情報は私がジェラールから教えられたものより少し劣る。

それでも、皆を驚かせるに日十分だったようだ。





「(マスターはだから私をこの作戦に……?)」


マスターはなぜ私をここへ送った?

私はここで何をすればいい。

《魔力の墓場》を殺せばいいのか。

《魔力の墓場》と共に殺されればいいのか。

いや、さすがにマスターがそんなことを考えているとは考え難いが。

しかし、私は――――…死にたくない。




「…え、ねえ!!」

「――――っ!」


いつの間にか俯いていた顔を上げれば目の前ではルーシィが心配そうにこちらを見ていた。


「ミオ、本当に大丈夫なの?
乗り物酔いなんかじゃなくて本当に
体調悪いんじゃ…。」

「ううん大丈夫。えと…何の話?」

「ナツが行っちゃったの!あたしたちも追わないと!!」


ルーシィは私の手を掴んで外へと走り出した。


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