lovesick
□第33話
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馬車に乗って数時間。
森の中の舗装されていない道に入ったのか馬車の揺れが激しくなった。
後ろの荷物(主にエルザの)が揺れる震動伝わってくるので更に揺れる。
ナツじゃなくても酔いそうだ。
私は膝に肘をついて手のひらに頭をのせた。
「ちょっ…ミオ大丈夫!?」
「よ…酔っただけ。」
「よ…よせ…オレとキャラがかぶる…………。」
「お前キャラとか気にしてたのか。」
…私はいたって真剣なのにどうしてコントになった。
それに私は乗り物酔いには強い方だった。
まぁ私の世界にこんなに揺れる乗り物はないし、最近夢見が悪く寝不足なのも理由の一つではあるのだろう。
「ほらミオ。下向いてると余計気分悪くなるわよ。」
「そうだミオ。グレイにでも肩をかしてもらうといい。
身長的にも丁度良いだろう。」
「…………それは悪いから良い。」
現在の席順は私を挟んで右隣にルーシィ、左隣にグレイがいる状態だ。
確かにルーシィに凭れても、ほとんど首が真横に傾いてしまうからエルザがグレイにもたれろというのも納得できる。
断ったのは本当に悪いと思ったのもあるし、保留にしていたことを再び考えされそうな気がしたからだ。
あの無限ループは気が滅入る。
ゆるゆると上体を上げると、ふいに頭から左に引き寄せられた。
「グレイ?」
「まだかかるんだ。しっかり休んでろ。」
有無を言わせぬその声音に私は抵抗を渋々やめた。
しっかりと肩にもたれているとグレイの鼓動が聴こえてくる。
聴力が上がっているからだろうか。
人の存在を身近に感じてひどく安心する。
「ありがとう。」
「おぅ。」
「でぇきてぇる。」
「ちげぇっ!」
台無しだこら。
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