lovesick
□第32話
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「あ、起きた?」
朝、目が覚めると視界いっぱいにルーシィの顔があった。
綺麗なブロンドの髪が朝日に照らされてキラキラと光っている。
「どしたの?ルーシィ。」
「すっごい魘されてたのよ?最近調子悪いみたいだし…。大丈夫なの?」
「大丈夫、大丈夫。」
その調子悪いと思われていた初期の理由は、私がグレイのことをなんたらかんたら…ということに悩んでいただけで体調が悪かったわけじゃない。
ちなみにそのことについては保留だ。考えたってわからないものを考えても仕方がない。
あとは夢見が悪いだけだと自分に言い聞かせるように心の中で唱えて、私は伸びをした。
ルーシィと一緒にギルドの門をくぐると何やら人だかりができていた。
「何ですか?コレ。」
「闇ギルドの組織図を書いてみたの。」
「あ…書いたのオレ。」
近くまで行くと何やら覚えのある地図と会話。
確か連合軍を組んで六魔将軍―オラシオンセイス―を倒す、という内容だったはずだ。行くのはチームの皆なのだから当然私もついていきたい。
しかしマスターの許しが出る可能性は非常に低いだろう。
・・・
なぜなら、連合軍を組んでいるからだ。
六魔将軍を討つというのなら凄腕の魔導士が揃い戦闘することは容易に想像できる。
そしてそのような魔力が飛び交う場所で《魔力の泉》の特性《還る》ことあったりでもしたら、バレるのは時間の問題だろう。
それは、非常に困るのだ。
《魔力の泉》は黒魔導士ゼレフが創りだした魔法なのだから。
さて、マスターをどう言いくるめようか。
「そして、ミオ!」
「はい?」
マスターに力強く呼ばれ不思議に思いながら振り返ると、ギルドの皆の視線が私に集まっていた。
歓声も上がっているし、エルザは頷いてるし、ルーシィは喜んでいるしでなんだか怖い。
「お前さんを六魔将軍討伐メンバーの一人とする!」
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