lovesick
□第28話
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楽園の塔から帰ってきてマスターと話したとき。
あれにはまだ続きがある。
『ミオ。その《魔力の泉》特有の体質は決して人の目にふれさせてはならん。』
涙がおさまったとき、最初に聞いたのはマスターのその言葉だった。
『もしそれが広まった場合、お前さんは色んな奴らにその力と体を狙われる。』
ごもっともだ。
私の力―ゼレフの魔法―のことを知れば、回りの反応は主に2種類に分けられるだろう。
一つ目は、力に恐怖するもの。
二つ目は、力を得ようとするもの。
力を得ようとするものはきっとどの世界にもいると思う。
みんなは、
みんなはどうだろうか。
離れていくだろうか。
チームのみんなに関しては間近でデリオラを感じたのだ。
グレイはそのデリオラのせいで街を家族を――師匠を失った。
私は―――
『あんなことを言った後で悪いが、皆にもまだ言わんでくれるかのう。』
『あ…。』
マスターの声で私は我にかえる。
眉尻を下げて申し訳なさそうにマスターは言った。
私はそれに首肯した。
申し訳ないのは私のほうだ。
私はひどく安堵していたのだから。
言わなくて、いいのだと。
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