lovesick


□第28話
1ページ/4ページ



「術式ですね。」


ぺた、と私は見えない壁に手を置く。

ミスフェアリーテイルコンテスト中に起きた石像事件(私命名)。

原作通りギルドの皆は外へとラクサス達を探しに行った。

私は少し脇に逸れて成り行きを見ながら、たった今出てきたという次第である。

間違ってもみんながいるときに術式にふれないためだ。

念のためと何にも無いはずのギルドの入り口に手をつければ、術式に手が触れる。


「ミオ!お前も出られねぇのか!?」

「ナツ。…うん、そうみたい。」

「お前80歳以上だったのか!」


ナツが私の肩を掴みながら驚いた顔でこちらを見る。

これはおそらく私が《魔力の泉》だからだろうな。

ゼレフが400年くらい前の人物なら、私もそのくらいと考えたほうがよさそうだ。

勘違いされる前に言っておこう、魔力だけだ、体と心は18歳だ。


「ちがうちがう。私の魔力、ちょっと特殊なんだ。」

「そういえば魔法使えるようになったんだな!
 花火上がったときはびっくりした!!」

「あ、うん。…ナツ、ゆすらないで。」


首がガクンガクンしてる。

そんな揺れる視界の中でもマスターが顔を歪めたのはわかってしまったけれど。


「ミオ。なんとかできんか?」

「やろうと思えばできるかと思いますけど、そうするには還さないと…」



.
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ