lovesick
□第26話
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くそう。なんでこんなに忙しいんだ。
ていうか一番注文多いのがミオセットシリーズって…。
あれ弟のために考えた短時間で作れる簡単レシピなのに。
ちょっと罪悪感だ。
まぁ、お給料多くもらえたから口には出さないけど。
そもそも私はちゃんと普通の名前を提案したんだ(メインの食材と調理法をつなげたシンプルなもの)。
なのにミラが「おもしろくないじゃない」とか言って無理矢理ミオセットなんていう名前にするから注文来るたびに恥ずかしい思いをしなければならないんだ。
「ミオセットA、2つくれー。」
ほうら、また…。って
「グレイにジュビア!」
私はウェイターに頼まずに直接注文しに来た2人に驚いて、手は断じて止めないけどそちらを向く。
グレイは「よお」とか言いながら手を振っていた。
「せっかくグレイ様と2人きりだったのに…。」
うん。ジュビアの呟きは聞かなかったことにしよう。
「あ!もうすぐ作るからそこに座っといてー。
はい!これ5番7番テーブル!」
私はこっちに来てから身につけた、会話と仕事を併用する技術を用いてグレイたちに返事をする。
「…忙しそうだな。」
「記者が来てるからギルドにいる人数も多くて…。
こらそこ!料理粗末にしたらギルドのてっぺんまで投げるよ!!」
私はばか騒ぎして料理をひっくり返そうとするグループを怒鳴る。
実際に投げたことがあるからか、この脅し文句は実によく効く。
「お前ってそんなに逞しかったっけ?」
グレイとジュビアが呆然とした顔でこちらを見つめていた。
そりゃあ、フェアリーテイルにいたら嫌でもたくましくなると思う。
初期と比べて私の性格は大分変わったはずだ。
まぁ恥じらいは相変わらず感じないんだけれど。
女子としては一歩も進んでないな。
「はい、出来た!」
私はグレイとジュビアに注文の品を渡し次の仕事に向かった。
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