lovesick
□第22話
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「な…んで?」
――成功した…と思った。
けれどそれは間違いだった。
間違えようのない間違いだった。
原作ではジェラールはアルテアリスを放った後ことの成り行きを見ていたはずだったと思う。
なのになぜだ?
なぜ――…シモンの体にナイフが刺さっている?
なぜシモンが動かない?
「イヤアアァァァァ!!!!!」
なぜエルザが悲しんでるんだ。
「なぜアルテアリスと共にナイフを投げたのかが気になるのか?」
ジェラールは瞬時に私に近づき耳元で囁く。
「お前に取り込まれても殺せるようにさ。
お前の前で全ての魔力は無に等しい。
シモンがくらったのは想定外だったが…まあ良かったじゃないか。大切な奴らが死ななくて」
ジェラールは笑う。
良かった?ええ私は良かったわ。でも死ななくても傷ついた。大切な人の心が傷ついた。
それは――良くないんだ。
一瞬気を緩めたのがいけなかった。
私の体がRシステムにズプズプと飲み込まれていく。
「え!?な……」
いわばRシステムの中の27億イデアの魔力が私の中に還ろうと逆に私を取り込んでいるんだと思う。
だって魔力が喰い破ろうとするような、喰い尽くそうとするような、中に入れてと懇願するような、そんな揺らめき方をする。
激しい戦闘による轟音のせいでナツたちは気づかない。
「ナ…ッぐ……う」
トプン。
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