lovesick


□第21話
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エーテリオンが落ちた。


その魔法により楽園の塔の真の姿があらわになる。

それは巨大な魔水晶(ラクリマ)だった。

しかしそこに本来あるはずのものはない。


「なぜだっ!なぜ魔力が蓄積されていない!!」


ジェラールの怒鳴り声が聞こえる。

その言葉からして私が狙ったことはできたのだと思う。

疑惑を真実にしながら。しかしそれについて悩む時間なんて今は一切無かった。


「お前か!!」


ジェラールはそういって私のほうに近づいてくる。

私はといえば体の中で何かが渦巻き爆発しそうな感覚に苛まれ呻き声を上げることしかできなかった。


「あ…ぅ…っく」

「ジェラール…。これはどういうことだ。」


ジェラールは私の前髪を掴んで持ち上げ引きずっていく。

本来痛いはずのそれも体内をめぐる気持ち悪さのほうが優って感じる暇も無かった。


「楽園の塔の真の姿は魔力を吸収できる魔水晶だ。
 評議員から落とされたエーテリオンを吸収し27億イデアの魔力を手に入れるはずだった。
 まぁ、こいつのせいで阻まれたがな。」


そういってジェラールは私の髪を更に持ち上げ、自身の顔に近づける。


「まぁ、問題ない。」

「くっ…ぁ」

「こいつの体ごとRシステムに融合させればいい話だ。」

「だ…だましたのか…」



「かわいかったぞエルザ」



エルザの背後から声がかかる。

水晶に半分体を入れられたまま私が見たのはジークレインの姿だった。



そこで私の五感は完全に遮断された。

まぶたが重い。

私は魔水晶の中で目を閉じた。

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