lovesick


□第20話
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「好きでもないやつにこんなことできるんだ。」


離れていくジェラールの顔に向かって私はそう言った。






静かな部屋にベッドのスプリングが軋む音が聞こえる。

ジェラールは私の顔を挟むように両手を置きながら、私の顔を見下ろしている。

その顔には獲物を見つけた捕食者のような笑みが貼り付けられていた。


「魔法にはそれぞれ属性というものがあるだろう?」

「はぁ?」


質問に全く関係ない質問に苛立ちを感じ、それを顔に出すがジェラールは全く気にすることなく話を進める。


「まぁつまりオレらの魔力のもとはお前なんだよ。
ミオ。」


そういって私の胸元に人指し指をとん、と置いた。

なんでも《魔力の泉》が属性というものを明確にし、それを人々が目撃したことによって、魔法という文化が広まりやすくなったということらしい。


「で、魔力っていうのは本能的にお前の中に還りたがる。」


まぁ体内にあるかぎり、そんなことは起こることはないが…とジェラールは言う。


「その魔力の本能の影響が魔導士にくる。つまり惹かれるんだろう。
惚れたと誤認するやつもいるんじゃないのか?」


何が言いたいの…と私は言葉を発したつもりだったけれど声は出ない。

しかしジェラールは唇の動きでそれを読み取ったらしい。

頬のタトゥーの歪みが増す。




「オレはミオに嫌悪感を抱かない。」




愛情を抱いてるわけではないが、何かがお前を求めている

とジェラールは続けた。




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