lovesick


□第17話
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私は今ロキの家の中にいる。

特に会話もなく促された場所に座った。

ロキは二人分の紅茶をもって私の前に腰かける。


「どこまで知ってるのかな?」

「ロキの出身地からロキがどうしてそんな性格なのかまで。」

「ほとんど全部じゃないか。」


ロキはそういって苦笑する。


「じゃあ…ボクが犯した罪も知ってるんだね。」

「私はあれを罪だとは思わない。」

「いいや。許されない罪だよ。」


ロキの顔が陰りをみせ、それを隠すかのようにカップに口を付けた。

それに習って私も紅茶を一口飲む。


「ミオはこれからボクがどうなるか
わかってるのかい?」

「教えない。」

「ハハ…」


乾いた笑い声が部屋に響く。

空気が重くて、会話だって続かなくてロキがあまりにも苦しそうだったから

だからこんなことを呟いたのは無意識かもしれない。


「消えないで。」


ロキの肩がピクリとゆれる。

顔色もまた悪くっなっていく気がして

その呟きがロキに聞こえたことを知らない私はそのまま声をかける。


「何かしてほしいことある?身体拭こうか?」


そのとき―――



世界が反転した。

目の前には天井とロキの顔。

押し倒されているのだと遅れてわかった。


「じゃあさ。慰めてくれる?」

「それが本当にしてほしいこと?」

「うん。やっぱり消える前に気持ち良い思いしたいしね。」


ロキは妖しく笑う。



――じゃあ…何でそんな哀しい眼してるんだ



「イヤよ。引導渡したみたいで後味悪いわ。」


ロキは一瞬目を見開くと、すぐにその目を細め苦笑いを浮かべた。


「冗談だよ。そんなかっこいい言葉初めて聞いた。」

「そう。まぁあきらめないでいたら大人しく襲われてあげても良いわ。」


そういって私はロキの家をでた。






「かっこよすぎるよ…」



全く―――――…








「惚れるね」


あとから呟かれたその言葉は、誰にも届かぬまま。


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