lovesick


□第16話
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*


「もういっぺん言ってみろ!!」


どこからかエルザの怒声が聞こえる。


「この際だ。ハッキリ言ってやるよ
 弱ェ奴はこのギルドに必要ねエ」





「オメーだよオメー」


足音が近づいてきた。


「聞いてんのか!?おい!!」


机がバンッと叩かれる。


「・・・なに?」


顔を上げれば苛立ちで満ちたラクサスの顔があった。


「見てわからない?私グレイと勉強中なんだけど。」

「はぁ?何の勉強だよ。」

「文字。」


最初は英語と同じなんだろうなと思っていたけれど

どうも違う文字もあるみたいで、

さすがに日常生活に支障をきたすと思い、この前病院に送ってもらう途中

グレイに頼んだのだ。


「テメー。文字も読めねぇのか。」


ラクサスが馬鹿にしたように笑うので、私は“五月蝿い”と書いた紙を渡した。

案の定ラクサスは見たことがない字に首をかしげる。


「何だぁ?これは。」

「私が知ってる国の文字。」

「へぇ?ゴチャゴチャした文字だな。何て読むんだよ。」

「“うるさい”」


周りの人たちが冷や冷やした目で私を見る。

ラクサスは顔に青筋を浮かべてこちらを睨んできた。


「文字なんかより強くなれるよう特訓でもしたらどうだ?
 元はと言やあオメーがガジルにやられたんだって?
 まぁ無理だろうがなぁ。」

「ひどいことを…!」


ルーシィがラクサスを見てそう言った。

それに気づいたラクサスはルーシィのほうに向き直る。


「これはこれは。さらに元凶のねぇーちゃんじゃねぇか。」


私はこの後の展開が予想できたので意識をラクサスからはずす。

といっても怪しまれないように視線はラクサスに向けたままなのだが。

もちろん考えているのは違うこと。

一番考えないといけないのは、ただでさえ少ない服が

何着かボロボロになってしまったことだ。

お金あるかな。治療代けっこうしたし。

仕事しようにも怪我が完治してないからな。

とか何とか考えているとラクサスは笑って去っていくとこだった。
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