lovesick


□第16話
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出逢いは衝撃だった。

彼女は森の中で何も纏わず倒れていた。

そのことにも驚いたけれど

彼女は何の恥じらいも見せなかった。

正直気味が悪かった。




気づけば彼女に掴みかかっていた。

彼女は「大丈夫」と無責任なことを言った。

オレは頭にきて彼女にキツイことを言ったけれど

彼女はただ真っ直ぐに「知ってるから」と続けた。

正直彼女がこわくなった。




罪悪感からか歓迎会を計画した。

ただ彼女の笑顔を見たかっただけかもしれない。

彼女は逆に泣いた。

でも次に見せてくれたのはとびきりの笑顔で

オレは嬉しくなった。




ガルナ島では彼女に二回も怒られた。

言い方はキツかったけれど

それはどちらもオレの身を案じてくれているものだった。

死ねないと思った。




次に会ったとき彼女はボロボロだった。

"何でも知っているなら危機から逃れることもできただろう!"

オレは彼女に怒りをおぼえた。

そしてすぐに理解する。

"知っていたからこうなった"のだと。




彼女が拐われた。


『うっ…!』


ファントムのスピーカーから聞こえた声は間違いなく彼女だった。


『ルーシィだけを捕らえたかったのに
余計なものまで付いてきやがった。
これがまた面白くてねぇ。
気を失ってるのにどれだけ殴って蹴ってもルーシィを庇うんだよ。』


ドカッドカッ


『うっ…ぁ』

『やめて!ミオに触らないで!!』


聞いてるだけで暴力を受けているとわかるそれに

ギルドの皆全員が驚愕した。




なぜだ。

どうして彼女は会ってまもない俺たちのことを

体をはって守ろうとする。

オレは彼女が不思議でたまらない。

なぜオレたちを頼らない。

なぜ話してくれない。

そうして理解する。



――ああ。オレは彼女を守りたいんだと。



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