lovesick


□第15話
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そう言ったのはグレイだった。

グレイは私の膝裏と背中に手を回し持ち上げると、

比較的安定しているところまで運ぶ。


「重かったでしょ。」

「軽すぎ。何食ってんだ?」

「…昨日から何も食べてないかも。」


アホかと言われた。

何かグレイ怒ってるし。

不機嫌ですね。

まぁ顔をしかめながらもしっかり処置をしてくれる。

これ噛んでろとタオルを渡された。これからナイフを抜くらしい。


「抜くぞ。」


グレイは私の腕をつかみ布をきつく巻くと

ナイフを握っている手に力をこめる。


「ぐ…んっいっ…あ…!」


抜けたナイフがからんと音を立てて落ちる。

痛みのせいで私の目は涙目だ。呼吸も荒い。


「…たのか」

「ん?」

「体調管理は基本なんじゃなかったのか?」


…まさかそれを根に持ってるの?と思って聞いてみた。


「アホか」


二回目?二回目ですか?

と思ったけどややこしくなりそうなので言わなかった。

グレイは私の腕への処置が終わり、太ももの処置へ打つろうとする。

グレイの髪が私の顔にかすれた。


「お前…生傷絶えないよな。」

「グレイだって変わらない。」

「アホか。女なんだからもっと体大事にしろっつーの。」


急に来た心配の言葉に私は自分の体温が少し上がったのがわかった。

不意打ちだ。

弟がグレイがかっこいいって言ってたのが少しわかった気がする。


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