lovesick


□第6話
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そのとき、ギルドの中が一気にザワついた


「入れてってどういうことだ?仕事してるし
 入ってたと思ってたけど。」

「魔法使えねぇんだろ?生活費稼ぐために魔法がいらねぇような 
 仕事はしてたみたいだが
 ギルドに加盟してる訳じゃねぇだろ。」


私についての議論があちこちで交わされる中

当の言われたマスターは口をあんぐり開けている。


「ミオ?ここ魔導士ギルドなんじゃが・・・」

「?存じてますが。」

「お主魔導士じゃないじゃん・・・」


くっ・・・やっぱり魔法が使えなきゃ無理かっ!

いや待てよ?


「私は人より力が強いです。」

「知っとる。」


だからどうしたと言う感じでマスターは私を見る。


「お見せしましょうか?」


段々いらついてきたので机を人質に拳を構える。


「やめてくれ!シャレにならん!!」


マスターが本気で焦ってる。

やばい。おもしろい。


「人より飛ぶ力も強いみたいで、軽く飛べば
 このギルドの屋根まで行けます。」

「マジっ!!?」

「マジです。」

「五感も良いみたいで、あっちの端にいる
 マカオとワカバの声も聞こえます。」

「く・・・口では何とでも言えるわい。」

「『おうよ。ルーシィもよくナツに付き合えるよなぁ。』
 『ちがいねぇ。それによく見るとかわいいしよぉ。』
 『だな。ギルドもどんどん華やかになっていくぜ。』
 『『ハハハハハハハハ』』  」

「ミオさん・・・?それは?」

「あの二人の今の会話です。」


汗をダラダラと浮かべ始めたマスターはしばらく考える素振りを

みせると、マカオとワカバを呼んだ。

マスターはそれから私にもう一度今の会話を暗唱するように促す。


「先程のお前さんたちの会話はこれに間違いないか?」

「お、おうよ。何で知ってんだ?」


マスターの顔が更にゆがむ。

魔法がないことはこれで補えただろうか。


「いいじゃろう。だがしかし危なくなったら
 誰かが助けてくれるなどと考えぬことじゃ。
 魔法が使えないからと言って特別視はせんからの。」

「本望です。」


マスターはミラを呼び、スタンプを押すように言う。

三田もそばにいた人も少し驚いた顔をしたけれど

普通におめでとうと言ってくれた。


「どこに押す?」


私は散々迷った末、向かって右の肋骨をさした。

ミラは際どいわね、といって私を奥の部屋に連れて行く。


ーーまぁ、何はともあれ。





これで私もフェアリーテイルの一員だ。
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