lovesick
□第1話
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「ふー。読み終わったー。」
そういって私は最新刊を片手にベッドに倒れこんだ。
私はただ天井をみつめて内容を思い返す。
――はたして。これだけ仲間のために動ける人がこの世界に何人いるだろうか?
自分の家族よりこの中のギルドのほうが家族に見える。
両親とは仲が良いとは言い難いし、弟はきっと成長するにつれ離れていってしまうだろう――
私は無理だとわかっていてもこのギルドの輪の中に入りたいと願ってしまう。
せめて、夢の中だけでも・・・。
そんなことを考えていたらいつのまにか眠ってしまっていた。
*
願いも虚しくそこは暗い、真っ黒の世界だった。
――ああ。これ夢だ。
そんなことを考えて、辺りをみまわそうとしてみる。
でも実際何も動かなくて、怖くなって起きようと試みるのだが、まるで金縛りにあったように動かない。
そうすると、直接頭に響くような声が聞こえた。
「お…がい。わ……を―――て。」
はっきり響くような声なのに、ノイズが混じっているかのように言葉の判別ができない。
けれど、それも除々にとれていく。
「今から。起…ることは…夢で…ない。
信じて。あなたに力を…生き…ためと……るための力を。」
その直後。目を開けていられない程の光が私を包む。
私の意識は、そこで完全に消えた。
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