lovesick


□第4話
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その後、汽車に乗ってマグノリアに到着した。

汽車の中で話してみると、本当にマンガ通りでいやでも私がこの世界に来てしまったことを認めざるを得ない。


「ようこそ。FAIRYTAILへ!!」


ギルドの前に来て、皆が口をそろえて私に言ってくれた。

促されて中に入ると、思ったとおりに酒場に人があふれている。

マスター達が帰ってきたことによりギルド内の視線がささった。

まぁ、確かに裸にコートは目立つよな。


「あら?また新入りさん?」


銀の長い髪……ミラジェーンだろうか。

柔和な笑みを携えて酒の乗ったトレイを持ちながら、こちらへと来る。

どういうべきかと少し悩む。


「えと・・・」

「定例会場の近くの森で出会ったんだ。
 記憶をなくしているらしくてな。
 しばらく、いてもらうことにしたんだ。」

「あらあら。大変ね。とまる所はもう決めた?」


そう、それが一番の問題だ。

お金なんてものはもちろん持っていないので宿をとることさえ出来ない。

私はふとギルド内を見渡した。


「いえ。ここで寝かせていただいても……。」

「全然いいわよ。でも誰かの家に泊まればいいのに。」

「いえ。そこまで迷惑はかけられ……。」

「!ミオ、右!!」


突然のルーシィの叫び声に私はそちらを見る。

すると、どう見ても大人数用のテーブルがなぜか宙を飛んできた。あ。死ぬかも。

私はとっさにひじを前に出す形にし腕で庇おうと試みる。


「危ない!!」


何人かの叫び声が重なった。次の瞬間



バキバキバキイィィッ!!!


轟音を不思議に思って目を開けてみるとそこには跡形もなく木片となってしまったテーブルと思わしきものがあたりに散乱していた。

自分の体を見渡してみると無傷。何の外傷もなかった。

そしてなぜか周りが驚きと期待の混じったような目で私と木片を交互に見る。


「ミオ・・・。あなた一体・・・。」




そうやらテーブルを木片にしたのは





「わ…わたしいぃぃぃ!??」







――わたしだったらしい。


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