lovesick


□第1話
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――息が詰まる。


そう思いながら私は鍵穴に鍵を差し込んで回しドアを開けた。

ただいま、と声に出して呟くけれど返事が返ってくることはない。親が家に帰ってきていないからだ。私の両親は医者として働いていて家を開けていることが多い。

帰ってくるのは大体深夜だし、最悪かえってこないこともある。

そんな2人は、私に医者になってほしいらしく成績にはけっこう厳しい。

そういう訳で、家では大抵弟2人でいることが多く、私がご飯を作ることが当たり前のようになっていた。

ご飯の支度をしていると玄関から弟の声が響いた。
弟はリビングに入ってくるなりスポーツバッグを無造作にソファに投げ私の手元にあるリモコンを指差す。

「姉ちゃん!テレビ、チャンネル替えて!
 FAIRY TAIL始まっちゃうよ!」

「ああ、もうそんな時間?」


私は急かす弟をなだめながら、茶碗と箸を置きリモコンを探してスイッチを押した。

どうも最近FAIRYTAILにハマってしまったらしい。

コミックスのほうも集めているようで、つい先日




『姉ちゃんて、テレビつけててもあまり目向けないのに
 FAIRYTAILは結構見てるよな。』

『そう?あんま自覚ないけど。』

『そうだって!』

『あー。でも確かに内容は結構覚えてるね。』

『だろ!?という訳でマンガのほう借してやるからさ。
 読んでみてよ!』


 

という会話をした。

その後も弟はこのキャラが好きだとかこのキャラのここが良いとか、ここに感動したとかを喜々として語っていた。

うん、なにかに夢中になるのは悪いことじゃない。


「そういえば姉ちゃん、どこまで読めた?」

「えーと。今、最新刊。」

「速っ!この前借したばっかなのに・・・」

「続きが気になったから・・・」


気になりだすとのめり込むのは私の性分である。

さあ速く最新刊も読んでしまおうと、箸をすすめた。

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