lovesick
□第21話
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「ミオッ!!」
エルザは水晶をドンドンと叩く。いや殴るといったほうが正しいのかもしれない。
しかしミオに目覚める気配はない。
「ジェラール!なぜミオを入れる必要があった!!」
「そう怒るなよ。そいつが魔力を奪ったのが悪いんだ。」
「27億イデアもの魔力を奪えるわけがないだろう!!」
以上が戦闘中に行われた会話である。
そして再びジェラールへと剣を薙ごうとしたそのとき、
「!」
エルザの背中に痛みが走った。
「な…何だこれは!!?」
「拘束の蛇(バンドスネーク)さっき抱き合ったときにつけておいたものだ。」
それはエルザの体を締め上げるように広がっていき、体の自由を奪う。
エルザがそれに苦しむ間ジェラールはRシステムが何であるかを説く。
それが終わると見計らったようにエルザの体が魔水晶にひきこまれた。
「が…うぁっ」
「おまえのことは愛していたよエルザ」
そうしている間にもエルザの体はどんどん魔水晶に飲み込まれていく。
エルザはこれを機とばかりにミオの手首をつかんだ。
「ジェラァ――ルゥゥ―――!!!」
叫ぶ。叫ぶ。叫ぶ。
普段、めったに流すことのない涙を流しながらエルザは叫ぶ。
ふと、手首をつかまれ今まで体にまとわり付いていた膨大な魔力が離れていくのを感じた。
「おっと」
桜色の髪、少しつり上がった目、竜の鱗を思わせるマフラー。
すでに見慣れたナツの姿だ。
「エルザもミオも妖精の尻尾の魔導士だ。渡さねーぞ。」
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