Chocolate Assort

□余興
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どんどん歩いて行っちゃうジェームズをぼくは小走りに追いかけた。


「あーっ…可笑しかったぁ」

「え?なにが?」

「なにがって?」


間抜けな声を出したぼくをジェームズが不思議そうに振り返った。
いや、なにがって…


「あんなこと言ってよく笑ってられるよ!ぼくヒヤヒヤしちゃったじゃないか!」

「ボクのお芝居程度でビビるなんて ピーターもまだまだだね!」

「え?」

「ん?」


決定的な食い違いに今更気が付いた。


「あれお芝居だったの!?」

「えぇえぇえええええっ!?」

「叫びたいのはぼくのほうだよ!!!」


ぼくが流した冷や汗とドキドキかえしてよ!
人間は一生のうちで脈を打てる回数が決まってるって聞いたことあるのに…
こんな程度で寿命が縮まるなんてごめんだよー…


「あーあ、絶対シリウス怒ってるよ…」

「まぁそしたらその時さ!」


どうしてそんなにニコニコしてられるのさ。
ぼくは溜め息しか出ないって言うのに…


「ジェームズってほんとにポジティブだよね…」

「ピーターがネガティブすぎるのさ!」

「それもあるけどさ…」


項垂れるとジェームズに乱暴に頭を撫でられた。
というかほとんど叩かれたようなものだ。痛い…



それはそうと気になることはもうひとつ。


「リーマスとアヤメはどこ行ったんだろうね。」

「さぁねー」


投げやりな返事に肩を落とす。


「ジェームズってほんと適当だよね」

「ありがとう」

「褒めてないよ…?」

「え?そうなの?」


この人ほんとうにぼくの話聞いてるのかな?
不安になってきた。


「でもリーマスの方が先に出て行ったし、寮に忘れ物じゃない?」

「そうかもね」


よかった、ちゃんと聞いてたらしい。


「アヤメもきっと教室にいるさ」

「うん」

「でもさ、シリウスが本当に浮気してるんだったらアヤメ狙うのもアリだよねー…」


またお芝居か…。
確かにアヤメは可愛いし美人だし気立ても良いから狙いたくもなるけどさ。


「茶番はもういいよ、ジェームズ」

「え?今のは割と本気だったんだけどな。」

「は?」


思わず固まったぼく。

ジェームズがよく吹く口笛が遠くから聴こえてきたのに気が付いてぼくはまた小走りになった。
 
 

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