Chocolate Assort

□初恋
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ホワイトチョコレートを口内で砕きながら、出会った頃のあの子を思い出していた。



新しくシリウスの彼女になったその子を、僕は可哀相だと思った。

1年生の時からモテすぎていた彼は、彼女を作っても なんとなく遊び癖が抜けきらない。
上手い女の扱いは知っているのに、恋の仕方を知らない。

それに僕は、今までの彼女とも適当な気持ちで付き合っていることを知っていたから。



同じ寮だけど話したことがない、シリウスの新しい彼女。

何があったのか、今までのケバイ女(シリウスに言わせれば色気のある女)達とは雰囲気が全く違う。
ひどく純情そうな女の子だった。


(これじゃ初体験もまだだろうな…)


実に余計なお世話ではあるけれど…
そういったことに素晴らしく適当な男の毒牙に掛かるであろう、彼女の華奢な身体を憐れに思った。


そんな彼女は シリウスの前ではいつでも笑顔だった。

でも、シリウスの背中を見つめる瞳は いつだって寂しそうで、どことなく遠いのだ。

彼女との別れ際。
振り返らないシリウスの隣を歩きながら、どうしてか 必ず2、3度振り返ることが癖になっていた。
そして気付けば、彼女の辛そうな表情が頭から離れなくなっていた。

恋愛に関してグレーな僕が初めて感じた違和感。



僕は、親友の彼女に恋をした―――…。



罪悪感なんて欠片もなかった。

シリウス・ブラックという男は悪戯と女遊びが趣味みたいなもの。
どうせ飽きが来たら 彼女を捨ててしまうだろうから。
事は荒げず、その時を待とうと、僕は決めた。
 
 
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