綴夢

キッスの成長
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「最近、キッスが一回り大きくなった気がします」
午後のティータイムが終わって、寄り添いながらの読書中。
急に彼女がボクを真剣な眼差しで見つめて言った。
「確かに、大きくなったかな?」
言われてみれば、と外のキッスの様子を伺った。
確かにここ一・二ヶ月で、大きくなったかもしれない。
「食欲の秋だからかな?」
「まだ夏が終わったばかりですよ?」
「冬に向けて、羽毛がフサフサと」
「それも早い気が」
それじゃあ、何だろうね?成長期かな?ボクは大して気にもせず、彼女の肩に手を回した。
ボクの彼女は、可愛い顔をむぅ、と難しいものに変えて、ボクを見た。
「太ったんだと…思うんです」

太った?
キッスが?

「それに、多分それは、私のせい…かと」
ボクは、言いにくそうな彼女の姿にくすっと笑った。
「それは…キミの作る最高に美味しい料理を沢山食べてるから、って事かな?」
でもそれは今に始まった事じゃない。
「ひと月やふた月で、急に太る理由にはならないよ?」
言い終わるかそこらで、彼女がかあっと紅くなった。
「やっぱり…原因は私、かと」
「え?」
「あの、一月ちょっと前、突然の豪雨の日がありましたよね?」
ボクは頷いた。あれはボクにとってはまさかの恵みの豪雨だった!
「その時、帰るに帰れなくて…ココさんの家に泊めて貰って…」
そう。もしもの時にとゲストルームを用意していた自分を誉めまくった。
「…で、それから何度も甘えてしまって」
当然、きっかけを与えてくれたカミサマに感謝したよ。
宿泊用グッズも今はすっかり揃えてる。
「昨日も本が読み終わらないって理由だけで、お世話になってしまって」
なんなら今日もお世話になってほしいところ。仕事定休日だよね?!
「つまりは…運動不足かと」

 運 動 不 足 ?

「送り迎えして貰う回数が、格段に減ってますから……」

……………………






(ん?テリーどうした?……あれっキッスじゃねぇか!急に来るなんて珍しいな!…ってかおま!でかくなったな!良い物食ってんだな!……ん?何その荷物?食い物か?くれるって?マジで?!ココ大好きだ〜っ!どれどれ……おおっ!美味そ〜!てかうめぇ〜!!…何キッス?食うか?え、違う?手紙?どれどれ……『トリコへ。元気か?早速だがうちの食材を送るから、食べて良し。』って犬かオレは!もう食ってるけどな!…何だよキッス?犬以下って言いたいのかよ?!え、違う?続き読めって?良いよ読まなく…分かったから!つつくなよ?!えーっと…『食べたらトリコの家の食材を積んで戻せ。なるたけたくさん。まかせた。よろしく。』……意味分かんねぇ!てか先に言えよ!ココ暑さで脳みそやられたのか?任せられても困るっつーの!…ん?まだ有るって?良いよもう。…分かった!分かったから!読むよ!……『追伸・トリコは来るなよ』……何この不要品扱い!腹立つな〜!キッス乗せてくんない?ココに一言言ってやる!…え?ダメ?良いじゃねーかちょっとくらい……痛ぇ!分かったよ!分かったからつつくな!つつくなって!!…くっそ〜どんだけの忠誠心だよ!あっ!テリーおま!ちょっとは主人を庇えよな!!あっ逃げた!待てコラ…………)



ダイエットダイエット!!.



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