綴夢

真夏の怪談話
1ページ/5ページ


ここはボクの家。いつもの昼下がり。ボクは彼女とソファーでのんびり過ごしていた。
…とそこに、トリコとその彼女、小松くんの三人が乱入…いや遊びに来てくれた。
五人で紅茶を飲みつつ最初は他愛ない話をしていたが、夕暮れになり辺りが薄暗くなった辺りで、ひょんな事から夏の風物詩、怪談話をしようと言う事になってしまった。まぁ面白いと思ったボクは、一番怖い話をした人への賞品として『砂漠の黒薔薇』と言う宝石を提供した。

「じゃ〜まず、オレからな!」

やる気満々なトリコが先頭を切る。…彼女に贈る気だな。

「こないだ聞いた話なんだけどよ、

ある男が、とある店でシューマイを一箱買ったんだと。
そのシューマイは、箱一杯にぎっしり詰まってたんそうだ。
それで、その男は一人暮らしだったんだけど、家に帰ってさぁ食うぞ、ってフタを開けたら、何故かぎっしり詰まった筈のシューマイが、真ん中一つ足りないんだと!
おかしいとは思ったが、男は箸が無い事に気付いたから一旦フタをして箸を取りに席を立った。
で箸を持って来て、気を取り直してさあ食おう!ってフタを開けたら、今度は二つ分、穴が開いてる!
気味が悪くなって男はフタを閉じたんだが…やはり気になってもう一度フタを開けてみた……そしたら!!

今度は穴が三つになってた!怖ぇ!怖過ぎる!!」



…………………判定。

「怖ぇだろ!食い物がどんどん減るんだぜ?!」
話し手のくせにマジで怖がってるトリコ。
「…それって…誰が食べたんですか……やっぱり…」
自分の妄想で怖がる小松くん。
「……てかトリコくん、怖がる場所違ってない?」
突っ込む所が流石なのはトリコの恋人。
「…フタを閉めなければ減らないかと」
微妙に的を射た発言はボクの彼女……


結果。
納涼レベル2。

先が思いやられるスタートだ。




(………トリコ、その話のオチは『フタ』だ。)
(何っ?!)
(くっついてるんだ。フタに)
(マジかっ!)
(それじゃ笑い話じゃないですかぁ!!)



スミマセン...


次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ