1/27ーにじゅうななぶんのいちー

□柏木 優香
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クラス替えがあった4月。
私にいやなことが起こった。



「じゃ、くじ引きの結果でお前達になったってことだな」

担任の荒井先生が確かめるように言った。

「はい、一応」

答えたのは私の隣にいる山崎だ。
私はこともあろうに最後までクラスで決まらなかった文化祭実行委員というはずれくじを引かされ、一番当たりたくない山崎と一緒になってしまった。

「そうか、じゃお互い協力して頑張れ」

荒井先生の当たり障りのない言葉を貰い、私達は職員室をでた。


協力しあいながらなんて無理だ。
特に山崎とは。



「柏木よろしく」


山崎が先を歩いている私に話しかけた。


あの時、私もそっけなく、よろしくと言った。


その私の返事のせいか、山崎は教室に入ったあとは、
忙しく部活の為に走って行った。



自分の席に座ると、大きなため息をついて
机にうつ伏せになった。


山崎の顔を見ると、今でも思い出す。
小学校の頃。
私は山崎にずっと片思いをしていた。
その思いを小学校の卒業式の後、山崎に伝えようとした。


「あの公園で夕方、待ってるから…ずっと…だから来て」



式が終わって、その場で告白するのは恥ずかしかったから
近所の公園に呼び出した。


何回も鏡を見て、
服を何回もこれじゃないって投げ捨てて
ようやく決まった桜色のワンピースを着て、
夕方、公園にずっといた。


待って、待って、辺りはもう蒼く染まり始めても
山崎は来なかった。


その後、お母さんが迎えに来て、帰ってきた部屋で私は泣き続けた。それから桜色のワンピースはあれから一度も袖を通さなかった。





中学校は離れたけど、高校は一緒になって、同じ学校にいるのは知っていたけど、同じクラスになったと知って気分が落ち込んだのに、さらにはずれくじを引いたことで気分は落ちて行った。



だけど、もしかしたら委員をやることであの時の理由を聞けるかもと期待を抱いている自分もいて、机にまた深くうつ伏せになった。



少し上げた目線の窓の外に、校庭の桜が見えた。
その中に練習しているサッカー部に山崎がいると思うと
胸が少しだけ音を立てた。






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