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□恋の刃と愛の猛毒、どちらに殉ずるが本望か。
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「トリ……」



小さな呟き声と同時に、後ろから俺の腰で組まれた手にギュッと力が入る。

俺は回されたその白い腕に、そっと手を添えるだけ。



数え切れない程のキスを交し、飽くことなく散々抱き合い、最後にお互いの名を呼び意識を手離したのは、いったい何時間前だったか。


俺が目を醒ました時、吉野は既にこの体勢を取っていた。


背後から俺の背中にぴったりと寄り添い、その細い腕を俺の腰に回して。

『なんだか、トリの背中にくっついてたい気分』なんて意味の分からない事を言って、一向に俺の背中から離れようとはしない。

どちらかと言えば俺はちゃんと向き合って吉野を抱き締めたいのに、それはイヤだと吉野はムキになって譲らない。






「ハァ……………。」


吉野は自分の頬を俺の背中に擦り寄せ、なんとも色っぽく艶かしい溜め息を吐く。

背中に密着する吉野の華奢な身体は、俺の情欲を煽り掻き立てるには充分すぎる。


「………吉野、そろそろいいだろ。いい加減離れろ。」

「やだ……………トリの背中、おっきくて気持ちいい………………。」



説得力の欠片もない、子供染みた言い訳。………いや、子供はこんな甘え方はしないか。俺が“恋人”だから、吉野はこんな風に俺にしがみついて甘えてくれるのか。

そう考えると、思わず頬が緩む。吉野に背を向けていて本当によかったと、この時ばかりはそう思わずにはいられなかった。


そんな甘い優越感に浸っていたら、突如慣れない感覚が俺の背中を襲った。












「っ、………吉野?」

「あ……………、ごめんトリ……びっくりしちゃった?でも…………痛かったよね、“コレ”。」



背後から吉野はそう聞いて、俺の肩口にそっと触れる。


そこには、少し血が滲んだ生々しい爪痕。正真正銘、吉野が俺に刻んだもの。


吉野はその傷痕を何度か撫でたあと………………、その傷に舌を這わせた。


「お、まえ………、なに舐めてんだよ。」

「だって……、俺のせいでトリの身体に傷つけちゃった。」


そう言って吉野が次に指先で触れたのは、右側の肩甲骨。ソコには、前回の情事で吉野がつけた引っ掻き傷がある。

「こんな大きな傷……ごめんね、トリ……。」


申し訳なさそうにそう呟いて、吉野はその傷痕にそっとキスを落としてくる。

その後も吉野はしばらく無言で、俺の背中につけられた傷痕のひとつひとつに丁寧に唇を押し当ててきた。











吉野、そんな事を気にしていたのか?

だとしたら、お前はよっぽどの馬鹿だ。



お前からつけられたこの傷痕、俺はそのひとつひとつも愛しくて仕方がない。これはお前が俺を求めてくれた、謂わば“証”のようなモノだ。

その小さく華奢な身体で、俺の抑えきれない欲望を精一杯受け止めてくれる。この傷痕は、当然払われるべきその対価だ。俺が吉野に溺れきっているという、誉れ高き烙印。













「…だけど俺、ちょっとだけ嬉しいんだ。」

吉野が傷痕への接吻を中断し、ふいに呟く。


「え?」

「ううん…………ホントは、すごく嬉しい。トリに傷をつけてるって分かってても、不謹慎だけど……………トリの身体にこんな風に傷痕を刻めるのは俺だけだって思うと、嬉しくて………………」



『だから、ごめんね。』



吉野は哀しそうにそう言うと、まるで仔猫の毛繕いのように俺の首筋に舌を這わせた。



唾液の濡れた感触が、俺の神経を甘く痺れさせる。

舌が離れた傷痕は少しの痛みを伴って、悦びに震えるかのように疼く。









「っ……、千秋。」

「へ…………、ウワッ!!」



無理やり体を捻り、千秋を腕の中に閉じ込める。


「ちょ………、トリ……。」

「どうせキスするなら、コッチにしてくれないか?」

「え………、ンッ。」


濡れた千秋の唇を塞ぐ。


「ふ、ァ………り……ト、リ……くるし、い……ンッ……。」


吐息ごと奪うように、千秋の唇を貪る。

苦しくなったのか、千秋が俺の背中に腕を回し、縋るように爪を立てた。





「ぁ……トリ、……ご、めん……。」

「……気にするな。それより今はこっちに集中しろ。」

「ンッあ………。」


頬を染めて息も絶え絶えな千秋を抱き込み、更に深いキスをした。

























恋のと愛の猛、どちらにずるが
か。







千秋にならば、爪で一思いに刻まれても構わない。

千秋にならば、唾液でじわじわと侵されても構わない。

だけど願わくは、千秋のキスに溺れて窒息したい。















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皆さまごきげんよう、【Brilliant Rose】管理人のカナコでございます。



えー……、ありがたくもこの度、当サイトは20万HITを達成致しました!!

これも皆さまの温かいご声援のおかげでございます。感無量でケータイ打つ指が震えております(((・・;)

本当に本当に本当に本当に本当に本当に本当に本当に!!ありがとうございます!!


4月からワタクシメも高3、受験生となりますので今よりも更に更新が停滞するかと思いますが、純情セカコイ中村春菊大テンテー様への愛は決して潰えません。

細々とではございますが、これからもひっそり活動してゆきたいと思います。

皆さま、これからもどうぞよろしくお願いいたします。



とゆーワケで(←エッ?)、この小説は20万HIT御礼のフリー配布とさせて頂きます。本当はフリリク企画などができれば1番なのですが、なにぶん私生活のほうがゴタゴタしていますので………(泣)

この小説を以て御礼とさせて頂きます。駄作ですみません(土下座)

期間は2月いっぱい。《自作発言NG》というルールさえ守っていただければぜひお持ち帰り下さい。

最後の題名の飾り文字は単なる管理人の趣味なので、省くも色サイズ変更も、皆さまのご趣味采配にお任せ致します。世に言う『煮るなり焼くなり好きにしろ』ってヤツです(笑)


最後になりましたが重ねて、20万HIT本当にありがとうございました!!



以上、作者のクセに『なんかトリも千秋たんも病んじゃってるな………』と思い悩む管理人、カナコでした♪


皆さまに愛を込めて。



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【追記】

配布終了しました、ありがとうございました!!




 

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