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□翔ちゃんの、律っちゃん小悪魔改造計画
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「…もっ、…ヤ、た、高野さんの馬鹿っ!!」


「おわっ!!」


ドンッと高野さんを突き飛ばし、資料室を飛び出した。


最低だ最低だ最低だ最低だ最低だ最低だ!!


何を考えているんだあの人は!!

ここは職場なのに、まだ勤務時間中なのに

いきなり資料室に連れ込まれたと思ったら、急にキスしたりしてきて


あげくの果てには俺のその……………あ、アレをくっ、………咥えようとしたり…………


いくらこっ、……恋人同士になったからって、やっていい事と悪い事がある筈だ!!


「あ、律っちゃんおかえり〜。」

「木佐さん。」

編集部に戻ると、木佐さんが今日も寸分狂わない愛くるしいドーリーフェイスでお出迎えしてくれた。

あぁ………、荒んだ今の俺に、その笑顔はかなり眩しいです。



今日は羽鳥さんは吉川先生のドラマの撮影現場を見学しに行っていて、美濃さんは担当作家さんの取材旅行に同行してる。


「遅かったね〜帰ってくるの。」

「え゙………」

『あ、コレ食べて〜』と個包されたバウムクーヘンを渡しながら、木佐さんは今1番触れてほしくない部分に触れてきた。


「えっと………ちょっと色々手間取ってしまって………」


木佐さんからの質問に『アハハハハ』と不気味に笑って誤魔化す。














「へぇ〜、高野さんの相手も大変だね。」

「っ!?!?!?!?」


木佐さんの反応に、思わずバウムクーヘンを喉に詰まらせてしまった。



「ゲホッ、ゴホッ………な、ななな何言ってるんですか木佐さん!!」

「え〜、だってさっき律っちゃんと高野さん、資料室でいちゃいちゃラブラブしてたじゃん。」

「わわわわわ!!」


えっ!?嘘、まさか見られてた!?


「実は、俺も資料室に用があって行ったんだよね。いやぁ〜びっくりしたよ。高野さん律っちゃんが突き飛ばしてなかったらあのまま律っちゃんにフェ───」

「ギャーース!!」

木佐さんの可愛らしい顔には似合わないアダルト用語が飛び出しそうになって、思わず奇声をあげてしまった。



「まぁまぁ律っちゃん、そんな照れることないよ。恋人同士なら自然な流れだって。

いやぁ〜2人が付き合ってたのは知ってたけど、まさか職場でいちゃコラされちゃうとはねぇ〜。高野さん、仕事で公私混同するのとか嫌いそうじゃん?まさか自分がやっちゃってるなんて意外すぎ〜。」

「あ、あの……何で俺たちがその…………………つ、付き合ってる…って知ってるんですか……?」


どうやら木佐さんは全てを把握している様子だから、ヘタに誤魔化すのはやめて素直に疑問をぶつける。

だって常識的に考えて職場の仲間───────しかも男同士が恋愛してたら、普通は引いたりするだろう。



「アハハ、そんなの2人を見てればバレバレだよ。高野さんなんててんで『好きな子をイジメる悪ガキ』だもん。ま、高野さんの嫌がらせに律儀に反応する律っちゃんも律っちゃんだけど。あ、ちなみに羽鳥と美濃も既に知ってるから。」

「は………はぁ。」


そうか………、隠しているつもりだったけど、バレバレだったんだ。しかも、羽鳥さんと美濃さんにまでバレてるなんて………。


「だけどキチンと把握したのは律っちゃん達が付き合い始めた次の日だよ。俺たち高野さんに個別で呼び出されて、『もし律に手ぇ出したら、まともな姿で定年退職できないと思え』って脅されたから〜。」


「はぁっ!?何やってんですかあの人は!!」

俺の知らないところでそんなやり取りが行われてたなんて……………、憤りを飛び越えて脱力感しかない。







「でもさぁ……律っちゃん。」

木佐さんが急に深刻そうな表情と声になった。


「は……、はい。」


「たまには高野さんを振り回してみたいと思わない?」

「……へっ?」


振り……、回す?誰が……誰を?


「さっきの資料室での2人を見てると、高野さんが一方的に主導権握ってる感じだよね?」

「えっと、まぁ………ハイ。」

高野さんとの日々の触れ合いを思い出して、顔が熱くなる。

確かに……、何だかんだいっていっつも俺、ほだされて流されてるよな………………………。


「それじゃあダメだよ!!」

木佐さんが急にダンッと立ち上がる。


「律っちゃん、今日仕事終わったら俺の家に来て!!」

「はいっ!?」


俺が状況を理解する間もなく『先輩命令だからね!!』とキツく釘を刺され、結局俺はそのまま承諾してしまった。




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