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□Happy Birthday To Love You
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「ん……、雪、名……。」

「木佐さん…………何でそんなに可愛いんスか。」

狭い俺の部屋に響く、キスの音と木佐さんの甘い声。

「か、可愛くなんか……ない。」

真っ赤になって下を向く木佐さんは、やっぱり可愛い。

きっと『可愛い』なんて言われ慣れてる筈なのに、こうやって照れてくれるのは言っているのが俺だから、とか自惚れてもいいのかな?

だとしたら、ものすごい優越感。

「いいえ!木佐さんは世界一可愛いッスよ!」


そういえば、今日バイト先にいた2人組の男性客も、身長の高い方の人がもう1人の方に『ヒロさんは世界一可愛いです。』とか言っていたっけ。

相手の人は、見たことのある人だった。かなり綺麗な顔立ちの常連さんで、バイト仲間の間ではちょっとした有名人の人だった。

(顔もあるけど、毎月決まった日に結構値の張る文学系の本を大人買いしてくれる、という理由でも有名人。噂だと、どっかの大学の助教授だとか。)

確かにあの人も綺麗な顔してたけど、俺の木佐さん程ではない。


ホント、こんなに可愛くて魅力的な人が恋人で俺は超!!幸せだ。



「あーっ!!」

「どっ!!どーした急に。」

「木佐さんとキスしたら、………なんかヘンな気分になっちゃいました。」

「は……はぁっ!?」


ぶっちゃけ俺より経験豊富なクセに、木佐さんはこういう時すごく慌てる。

えっちな事に対しては結構オープンだし、自分から誘ってくる事も多い。


だけど俺が『木佐さんが欲しい』とハッキリ口にすると、ものすごく可愛く照れてくれる。

『自分から誘う方が恥ずかしくないですか?』って思うけど、そんな事はどーでもいい。

そんな木佐さんも、俺は超!!大好きだ。


「とゆーワケで………………、木佐さんをいただいちゃいまぁ〜す。」

そう宣言して、木佐さんをベッドに組み敷いて木佐さんが着ているTシャツに手を掛ける。

ここまで来ると木佐さんも、いつもなら俺のベルトを外しはじめるんだけど──────


「ゆゆゆ雪名!!ストップストップストップ〜!!」

ドンッと俺の体を押して、木佐さんが飛び起きた。


「えっ………、木佐さん?」

もしかして俺………、拒絶された!?

「ごめん雪名、でも………あと2分だけ待って!!」

木佐さんはすごく必死な顔でお願いしてくる。

あぁ、そんな顔も可愛すぎですよ!!


「えっ……、別にいいッスけど………。」


今の時間は11時58分。

今の時間帯って、なんか面白いテレビでもやってたっけ?





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