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□バイク便配達員と迷惑な2人
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俺はバイク便の配達員をしている。元々バイクが大好きだったので、バイクに乗って出来る仕事を探した結果だ。

あ、言っておくけど暴走族とかヤンキーとか、そういうのじゃないよ?
俺はバイクに乗ることそのものが好きなわけで、スピードを出したいわけじゃないから。

それに基本的に群れて走るのは、あまり好きじゃない。1人で走るのがいいんだ。

そういう意味で、バイク便の仕事は俺の天職だと思う。頭の中に地図を広げて、ルートをイメージする。
東京都内の道路はまるで迷路のように複雑だ。

狭い道や渋滞をうまく潜り抜けて、短時間に荷物を届けるのは意外と難しい。
少しでも早く、でも安全に荷物を届けるのが、俺のポリシー。そして届け先の相手に「早いね」とか「ご苦労様」と労ってもらうのが、最高の快感だ。だけどそんな俺のポリシーを踏みにじるような客がいる。

その客はとにかく時間を守らない。指定された時間に取りに行っても、まずそこで待たされる。

やっと渡された書類を届ける先は、殺気立ったオフィス。担当者は遅いと言わんばかりの睨み殺されそうな目でそれを受け取る。そりゃ待ってる間分の超過料金はもらうし、労いの言葉なんて料金に入ってない。

でもこちらのストレスも、少しは考慮してもらえるとありがたい。待たされた挙句、睨まれるなんて気分悪いだろ?第一こっちはギリギリの人数でやってるんだ。

待っている間は他の仕事ができないってことで、つまり他の配達員の負担が増えるんだ。

だからその客「吉川千春」は、配達員たちの「行きたくない配達」ナンバーワンだ。


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