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□個人情報保護法って、知ってますか?
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「木佐さん、すっごく似合ってます!」

「予想以上の完成度だねぇ〜」

律っちゃん、美濃、ごめん。全然嬉しくない。


「吉川千春の資料用に、俺も写真撮らせてくれませんか高野さん。」

「あぁ、構わない。これなら絵梨佳サマもさぞご満悦だろうな。」


羽鳥に高野さん、カメラ向けないで。


「も……もう嫌だぁ〜!!」

「こらこら木佐クン。『女の子』はそんながに股で叫んだりしないよ。」


美濃サマの笑顔、超怖い。

でも…………でもさ!!


「何で俺が“女装”しなきゃなんねーんだよ!」






事の発端は、高野さんの一言。

「木佐、女装しろ。」

「……………、はい?」


周期が明け、比較的のんびりしていた乙女部。

高野さんは何やらデカイ紙袋を片手に、俺にそう命令してきた。

聞くところによると、少女漫画界のスーパーヒロイン一之瀬絵梨佳大先生様が読み切りで『女装男子もの』をやりたいそうでございまして。


『作品の完成度を高める為に、本当の女装男子が見たい』と高野さんに仰せになったそうだ。


「てゆーか、そーゆーのは律っちゃんにやらせればいいじゃん!」

確かに俺は超童顔だけど、決して女顔ではない。

律っちゃんのほうがどちらかというと綺麗系の女顔だと思う。


「俺も女装は小野寺が適任だと思ったんだが、生憎絵梨佳サマはお前を御指名だ。」


高野さん。『小野寺が適任』とか言って残念がってるけど、悪いけど目が笑ってるよ。

さしずめ、律っちゃんの可愛い女装姿を俺たちに見せずに済んで喜んでるんでしょ。

羽鳥と話している律っちゃんも、自分が指名されなくて良かった〜みたいな顔してるし。


「木佐、頼むよ。」

「………わかりました。」

本当は断る事もできた。

だけど絵梨佳サマがこれまで丸川書店にもたらしてくれた利益は、俺の生涯賃金の総額よりも多いだろう。

それを考えると、やはりここは大人しくしといたほうが賢明だ。


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