main

□アシスタントは見た!!
1ページ/5ページ



皆さんはじめまして。

私の名前は宮原ケイ。


男みたいな名前だけど、歴とした24歳の女です。

T芸術大学を卒業後、立派なイラストレーターを目指して日々修行中。


私が目指すのはデザイン性・芸術性の高いイラストなんだけど、

『様々な種類の絵に触れたほうがいい』というお世話になった大学の先生の言葉に従って、今は少女漫画のアシスタントをやっている。


このアシスタント先がまた面白いし、いい勉強になるんだよね。


丸川書店に勤めるハトコのお姉ちゃんのツテで、超人気少女漫画家の『吉川千春』先生を紹介してもらった。

吉川先生のことはよく知ってる。年の離れた高校生の妹が大ファンなのだ。妹の部屋の本棚には先生の漫画が全冊びっしり埋まっている。


私は漫画はさほど読まないけど、去年の冬にやっていた吉川先生の漫画が原作のTVドラマは、毎週欠かさず見ていたし。


なんて甘くて切なくて、それでいて乙女の胸キュンポイントをがっつり刺激する作品たちなのだろう。

きっと吉川先生は、究極の乙女の中の乙女なんだ。


勝手にそんな想像をしていた。



だからまぁ………初めてアシ先行って『男』だと知ったときは流石に驚いたけどね。


でも吉川先生──もとい吉野千秋さん──は、見た目はものすんごい可愛いらしい。

いやもう本当にマジで、『あなたガチで20代後半?』と聞きたくなる可愛さよ。

別に特別童顔とか特別美形ってワケじゃないのにものすごい魅力を感じる、不思議なんだよな〜コレが。



んでもって、『伝説のプロアシ』の異名を取るスーパーアシの柳瀬さんも、吉川先生とは違った魅力を持つ人だ。

アシ仲間の希美ちゃんは、彼に片想い中だ。

女としては羨ましい限りの猫目美人。素晴らしい才能。繰り返し言う、羨ましい限りだ。


最後に忘れてはならないのが、吉川先生の担当編集の羽鳥さん。

こちらはかなりの男前。
『デキる大人の男』のフェロモン垂れ流し、って感じ。

そのピシッと着こなしていらっしゃるスーツに隠された逞しい肉体を、ぜひとも拝ませて頂きたい……………なんて思っちゃうくらいに全てが完璧だ。

聞けば、炊事洗濯その他家事全般もこなせるそうで。
彼はまさに、女子の理想を具現化した生物だと思う。



とまぁ、それぞれ個性の違う魅力的な男性に囲まれ(先生は基本ボロボロだけど)、
時には地獄絵図を身をもって体感したり、
時には吉川先生に私のイラストの感想を聞いたりと、それなりに充実した生活を送っていた。




だからびっくりした。

あの日見た、あの光景には。



次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ