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□たまには甘いのだって欲しい。
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※毎度の如く、専務取締役サマのキャラが終わってます。ご理解頂けるお嬢様のみお進み下さい。


























自分の恋人が容姿端麗頭脳明晰、おまけに品行方正だったら、喜ばない奴はいない。

俺の恋人はこれらの四字熟語通りの、完璧な男だ……………けど。


それが不満な時もある。













…………例えば、今みたいに2人で一緒に寝ている時とか。


このベッドの主は自分である筈なのに、朝比奈は端っこのほうで行儀よく眠っている。

………………俺に背を向けて。



「…、………」



暗闇の中その背中を見つめ続けて、もう1時間。



仕事を終わらせて一緒に帰って、一緒にメシ食ってテレビ観て風呂入って…………恋人としてやることヤッて。


朝比奈は何ていうか………、よくわかんない。




俺を抱いてる時は激しいのに、終わったらすごくドライだ。





何か甘い言葉を囁いてくれるワケでもない。

髪を撫でてくれるワケでもない。

腕枕してくれるわけでもない。

朝まで抱きしめてもらえることなんて、滅多にない。






……………でもまぁ、それは

「仕方ない………、か」


10年も付き合っていたら、どうしても付き合い始めた頃より落ち着いてしまうのは仕方ない。

ときめきは失うけど、でもその代わりに安らぎを得る。

2人の丁度いい距離感やリズムを見つけて、それに心地良さを感じて。

これを愛の劣化と呼ぶか、はたまた愛の進化と捉えるか。それは2人次第。



……………だからかな。

いつまでも異常なまでに、あの屈折した秋彦に溺愛されてまくっているチビたんが。

どんなにツンツンしてても、高野に公私混同上等と言わんばかりにどこでも構ってもらえる七光りが。


時々どうしようもなく羨ましくて、嫉妬してしまう。



……………別に、朝比奈が悪いワケじゃない。

朝比奈は真面目で優しくて顔も良くて仕事もデキるし…………………何より、俺が朝比奈の事がどうしても好きだから。


ただ“10年”という時間に胡座をかいて、俺を“好き”って気持ちを忘れてほしくないだけ。






だからたまには…………


抱き合った後に、何か甘い言葉を囁いて欲しい。

髪を撫でて欲しい。

腕枕して欲しい。

本当にたまにでいいから、朝まで抱きしめて離さないで欲しい。











「……………朝比奈の馬鹿」



この俺様がこんなに悩んでるのにも気づかないで、ひとりでスヤスヤ寝やがって。


それがすごく悔しくてムカついたから、だから。




───────後ろから朝比奈に、思い切り抱きついてやった。


前に回した腕に力を込めて、額を朝比奈の背中に擦りつける。


朝比奈が朝まで俺を抱きしめてくれないなら、俺が抱きしめてやる。

50+50=100である必要はどこにもない。

0+100=100でも、100は100だ。





「……………へへっ」





朝比奈の体温、朝比奈の匂い。

やっぱりどうしようもなく求めてしまう。



────今夜はぐっすり眠れそうだ。

































「……ま、龍一郎様。もう10時を回ってますよ。いくら今日が休日でも、そろそろ起きて下さい」

「ン…………はよ、あさひな」

「はい、おはようございます」

「なぁ……水、ほしい…………」

「はい、ただいまお持ちします。ですが……………」

「ん………?」

「少しの間だけ放して頂いてもよろしいでしょうか」

「え…………?」

「いくら私でも、このままでは水を取りに行けません。そんなに腕に力を入れなくても私は貴方の所有物なのですから、どこにも逃げたりはしませんよ」

「…、ぁ……………」

「それに何より、私もそろそろ貴方の顔をきちんと見たいですしね」

「………ぅわあああぁぁあぁああぁぁああぁあぁああぁぁあぁぁぁああぁーーーーーーーーーーーーーーーーーっっ!!!!」











→あとがきという名の反省会



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