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□キスしたら、許してやる
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「はあっ!?お前ふざけんじゃねーぞ!!」
「専務、声を落として下さい。ここは会社ですよ。」
「うっせー!!」
冗談じゃねぇ、最低だ!
今日は朝比奈と夕飯食って帰る約束をしていた。
2駅隣に新しいイタリアンができて、そこが内装も洒落ててメシも旨いって最近評判だから、先週俺から誘った。
内装もメシも正直どーでもよくて、本当は最近朝比奈とちゃんとデートしてないから、2人でどこかに行きたかっただけ。
本当はデートというのは下僕の朝比奈から誘うべきだけど、まぁそこは寛大な俺様の慈悲だ。
誘った時に朝比奈が『来週の金曜日なら大丈夫です。』って言ったから、俺は先週からずっと今日を楽しみにしてたのに。
今日の予定を空ける為に、昨日までずっと残業したのに。
会社の女の子達に『今日の専務、いつもよりカッコよくない!?』とか言われちゃうくらい、ちょっと服とかにも気合いを入れてきたのに。
1時間待ちは当たり前って聞いたから、バッチリ予約もしておいたのに。
なのに!!!!
「なんで親父の会食にお前が同行するんだよ!!」
「仕方ないでしょう。旦那様から今朝直々に頼まれたのですから。」
親父め、息子の恋路を邪魔して何が楽しいんだよ!
いや、そもそも親父は俺らの関係には気づいていないだろうけど………。