shortdream 1
□IF 幸村の場合
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もしも幸村とプールに行くことになったら↓
「ぷぅる…」
「ん?」
「某ぷぅるとやらに行ってみたいでござる」
「へぇー…プールねぇ…ぷぷぷぷぷプール!?」
ある日幸村の口からとんでもない言葉が出ました。
「ゆっ幸村、プールがどんなところかわかってる?」
あんな(幸村にとって)苦手な女子が沢山いて、(幸村にとって)苦手な露出か多い場所に!
幸村から行きたいと言うなんて!
「うむ!真に面白そうな場所であった!」
「でも幸村が苦手な女の人沢山いるよ?」
その言葉を聞いて幸村の体がピシリと固まる。
てっきりわかってる上で行きたいと言ってると思ってたんだけど…
「なんで急にプールなんか…」
「あの…その…」
幸村の話によると、どうやら大型温水プールの宣伝CMが有ったらしい。
中には幸村の好きそうな巨大化ウォータスライダーや、流れるプールなどがあったらしく、実に興味をそそられたと。
だがCMはアトラクションを紹介するものだったので、プールに実際に入っている人の姿は無かったと、そうゆうことだ。
「多分幸村だったら鼻血だして卒倒しちゃうんじゃないかな?」
「そそそそんなに破廉恥な場所なのでござるか!?」
まあ口で言ってもいまいち伝わらないよなぁ…
…見せる方がはやいか、
「待ってね…今画像出すから…あ、出た出た、はい」
パソコンで素早く検索。
水着と打つだけで何万件もの画像がヒット。
画面中破廉恥だ。
「しっ失礼いたす………!!!」
分かりやすいくらいに幸村の目がカッと開く。
でも破廉恥っ!とも叫ばないし鼻血も出さない。それどころか顔も赤くなってない!
「どっどうしたの幸村!破廉恥じゃないの!?」
「む、無論破廉恥でございます!ですが…」
そんなに力強く言うことじゃないのに…
まぁそれは置いといて、なにかを言いたそうにする幸村に視線を戻す。
「なんと言いますか…女子は女子なのですが…なんでござろう…上手い言葉が見当たりませぬ…」
「何も思わなくなった訳じゃないんでしょ?」
「うむ…昔の某ならばえもいわれぬ惨劇になっていたであろうが…言えることがあるとするなら…某の見る目が変わったのだろうか?」
「目?」
もしかして長い現代生活ですっかり間隔が変わっちゃったとか?
いやいや、幸村の女性恐怖症はそう簡単には治らないよ←
…じゃあ…?
「幸村に心境の変化があったのかなあ?」
「変化にござるか?」
「うん、今まであった重大な問題が他の問題のせいで気にならなくなる感じ。」
「某の中にほかの問題が…?」
そう言われて何かを考え出す幸村。
難しい顔をしたり、上を見上げてみたり、うーんと唸ってみたりして、
カッと目を見開いたかと思ったら私のことを凝視してきた。
「まさか…」
「何か思い当たることあった?」
「!…いっ、いえ…何も…」
「そう?」
まあ本人がわからないといってる限り私が口出しすることじゃないよね。
ちゃんと幸村が自分で理解したら話してもらおう。
「…それより幸村、幸村が大丈夫ならプール行けるんじゃない?」
「!なんとっ!真にございますかっ!」
「うん、久しぶりに遊びに行くのもいいかなーって。」
そう言うと解りやすく尻尾を振りだす幸村。
まあ幻覚だけどね。
「今度水着買いにいこうね。」
「承知しました!この幸村!共にぷぅるに行きまする!」
声高々にそう言った幸村だが、私には1つ心配事があった。
それを確かめるべく、隣の部屋に移動して、奥の方にしまい込んでいた水着を取り出す。
私がやることはただ1つ。
実際に水着を着て幸村に見せる、それだけだ。
水着を身につけてリビングへと戻る。
テレビでは今まさにプールのCMがやっていて、幸村はそれに見入り私に気づかない。
「幸村ー?」
「なんでござろう?」
「ちょっとこっちみて」
「?…!!!??」
私が今着ているのは、シンプルなビキニです。
一年ほど前に一目ぼれした、黒の少しセクシーなやつ。
これに耐えられたなら、プールに連れていける。
「幸村…?」
「……………」
幸村は叫ばない。
それどころか目を数回開けたり閉じたりを繰り返したあと、全く動きがなくなってしまった。
「まさか」
近くによって目の前で手を振ってみる。
今度は瞬きさえしない。
ただ目を見開いたまま固まっていた。
「…えい」
押してみた。
幸村は逆らうこともせずに後ろに倒れこむ。
…完全に気絶している。
「やっぱ生身は無理だったかー…」
ツンツンと頬をつついてみる。
うん、柔らかい。
…じゃなくて、起きる様子はない。
「幸村にはまだちょーっと早かったね」
プールに行く話は、白紙になりました。
普通に考えたら幸村はプールなんていけない