stand out

□No.003
1ページ/5ページ




それから、オレは毎日部活に行くようになった





周りは
"急に真面目になった"


とか



"いいことがあった"



とか色んな噂を流しはじめた




いいことがあったのではない



どちらかというと

いいことを見つけたというのが正しい





彼女がオレに振り向いてくれたわけではない





でも、河西さんの横顔を見れるだけでいい



目なんか合わなくていい



ただこうして

毎日眺めているだけで良かった




そんな、平穏な日々は毎日は続かなかった…





あれ以来、オレは毎日河西さんが来ないかと


教室で待つようになった。



でも、いつも来るのは
デブゴリラ



あいつが来たら



オレは部活に行くのが日課だった





でも、今日は珍客が来た




噂では聞いたことがあった


でも、見るのは初めて



"渡辺麻友"




噂では
CGで出来てるとか





渡辺「あの〜
あなたが名無し名無し?」





『はい…』





渡辺「卓球部の?」





『はい…』




渡辺「それで、何してるの?」





『えっと…探し物してて…』



絶対に口が裂けても
河西さんが来ないか楽しみに待ってるなんて言えない






渡辺「へ〜じゃあ、私も探してあげる」





『いや、そんな悪いから』





渡辺「大丈夫だから
何探してるの?」






『その…大事なシャーペン無くしちゃって』





渡辺「どんなの?」





『黒いやつ』




渡辺「分かった」





それから、一時間ほどありもしないシャーペンを探し続けた





『もう、いいよ』





渡辺「ゴメンね。チカラになれなくて」





『いいよ。ありがとう』





そして、渡辺さんは教室を立ち去った




なぜか
今日はデブゴリラは来なかった





.
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ