stand out

□No.008
1ページ/3ページ





あの後、家に帰ったのはいいものの…

あまりに腕が痛かったから
病院に行くと骨折で全治一ヶ月だそうだ…





翌日、学校に行くと

意外にも誰もケガについてふれてこなかった…




まぁ、何人かは聞いてきたけど…


そのうちの一人が

この人



小嶋「ひつじ、どうしたの?腕…」




『あぁ…ちょっと階段で転んじゃって…』




小嶋「大丈夫なの?」




『まぁ、たぶん…すぐ治るよ』




小嶋「そっちじゃなくて!ノート書けるの?」




『あ、そっち…たぶん書けません…』



大丈夫なの?って…


ノート書けるの?っていう方の大丈夫なの?だったのか…(笑)


てっきりオレの体の心配してくれてるのかと思っちゃったじゃん…



小嶋「じゃあ、一ヶ月ぐらい寝れないってこと!?」





『うん。そういうことになるね…』




小嶋「そんなの生きてけないよ…」




そんなやりとりの後…



授業が始まり…
小嶋さんは珍しく起きていて自分でノートを書いていた…


オレはというと
利き手をやられたせいで…

ペンすら握れない状況…



それに小嶋さんは気付いたのか、


小嶋「貸して。」




『えっ、何をですか?…』




小嶋「ノート!書けないんでしょ?」




『え、書いてくれるの?』




小嶋「うん。」





『ありがとう!』





小嶋さんは意外にこういう風に優しい姿を見せる時がある。




でも、一時間目まではきちんとノートを書いてくれてたけど…


二時間目はぐっすりと寝ていた…



そんな所もかわいくて愛しく思える…





オレって…
小嶋さんが好きなのかな…

河西さんが好きなのかな…

麻友ちゃんが好きなのかな…



小嶋さんは一緒にいても何も思わないけど…
"かわいい"とは思ったりドキドキしたりする…



河西さんは一緒にいるだけでドキドキしたり話す時は緊張してしまって上手く話せない…




麻友ちゃんは…
普通に話せるし…でも、かわいいとは思う…唯一名前で呼んでる人…





オレの周りにはかわいい女の子が多すぎるんだ…


うん。だから色々と迷っちゃうんだ…







-昼休み-




大島「名無し〜〜!!」





この声は確実に大島さん…

最近はよくオレの所に来る…




『もう、屋上には行きませんよ。』




大島「うん!大丈夫!お弁当持ってきたから!」





『はーそうですか。』





大島「それより、名無しケガしちゃったんでしょ?」




『なんで、そんなに嬉しそうな顔してるんですか?』





大島「ケガしてたらご飯食べにくいでしょ?だから食べさせてあげる!!」





『いや、大丈夫です。オレ、いつもパンなんで』




大島「えぇー…せっかくの大島さん手作り弁当なのに…」





小嶋「優ちゃん(笑)」





大島「こじぱ笑うな〜」





『ははは(笑)』





大島「それより、クラスマッチ名無しちょーかっこよかったよ!!!!」




『それはどうも…』





そうやって目立ったせいで

こんなざまなんだけどね…



大島「サッカー部に入っちゃえばいいのに!」





『いやいや、もう今さら入る気なんて無いですよ。』





大島「いや、待てよ…
これで名無しがサッカー部なんかに入っちゃったら大島さんの名無しがみんなに取られちゃうかもしれない…」


なんてひとりでブツブツとつぶやきだした…



『いや、大島さんのものじゃないですから…』




小嶋「優ちゃんうるさい!」




そう言われてもひとりでブツブツと何かをつぶやいている…




それから、大島さんはずっとブツブツとつぶやき続け

昼休みの終わりを告げるチャイムで気がついたのか

ダッシュで教室に戻っていった。





大島さんの去った後は
やけに静かに感じた…
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ