お題
□砂のかおり
1ページ/1ページ
温かくて、安心感のある
君はそんな香りがした。
「風影様……良かった。無事で…ほんとに良かった…!」
「ライナ……その呼び方はやめろと言ったはずだ」
「あ。ごめん……なさい。」
その日、彼と会う約束をしていた。
だけども...彼は来なかった。
今じゃ彼も風影という立場
それは、束の間のひと時でさえ時間は許してくれない。という事だと...理解はしていた
「少しでも時間を作ろう。だから待っていてはくれないか?」
それでも、我愛羅はそう言った
だから...
私は彼を信じて待っていた。
しかし
運命というものは残酷で。
それからしばらくして、暁という組織に我愛羅が連れ去られたという知らせを受けた。
「ごめんね……私、何も…」
「それ以上言うな。待っていろと言ったのは俺だ……ライナは、約束通り待っていてくれたのだろう?」
何もできなかった。
ただ、無事を願って待っていただけの私を...
我愛羅は、そっと優しく...ギュッと強く抱きしめた。
「待っていてくれれば……それでいい。俺の元に居てくれればそれでいいんだ」
「我愛…羅…」
*砂のかおり*
君に包まれる腕の中は
とても温かくて、とても優しい砂の香りがした
「ありがとう……大好きだよ。我愛羅」
「……大好き、か。俺はライナを愛している…」
「……も、もちろん私も…!ああああっ……あい…あい…!」
「無理をするな。恥ずかしいのだろう?」
「…っ…!」
いつか言える日が来るまで、君は待っていてくれますか?