お題

□自分は確かにヒトだった
1ページ/1ページ



人形になりきれなかった人間だと、彼は自分を自虐した。


「サソリはヒトだよ」

それでも、彼女はそう言う



「体を見りゃ分かるだろ……」

  口先ばかりだ。

と...俺はその言葉を、容易く切り離した。


すると、こいつは...ぷくりと頬を膨らませて。

「………だって……人形は、恋なんてしないでしょ」


なんて、生意気な事を返した。



「馬鹿か…テメェは」

「……もう、馬鹿でいいよ。それくらいサソリの事が好きだって分かってくれれば」



そう言うライナは、どこか悪戯な笑みを浮かべていた。



不思議な事に、そんな生意気な姿さえも...

とても愛しくて、とても暖かい気持ちになれる。







「ね、サソリは?」

「…あ゙ぁ?」

「不機嫌そうな声出さない!サソリは………私の事、好きかって聞いてるんだから……空気読んで。」


「…………くだらねェ」


「もう……またそう言う」


ころころ変わるこいつの反応の一つ一つが、俺は...



「………好きだ。」

「…っ…え…!?い、いま…」



「って言ったら満足か?ククッ…」

「なッ……!いいよもう!」








  *自分は確かにヒトだった*





「おい……そろそろ機嫌直せ。会話がねェと気まずいだろ」


「………………。」


「…………好きだの後を訂正してやるから機嫌直せ。」

「ほんと!!?」










俺は、ライナが恋しかったんだ
 
 

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ