歌王子

□もう少しだけこのまま
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「さつき…?」



ふと名前を呼ばれて
くるっと振り返れば
どうやら翔が帰宅したらしい。

会いたかった。

でもそんなことを言うのは
俺のプライドが許さない。



「何か用か?」


「いーや、別に。
なんかお前久しぶりじゃね?」


「あぁ。」



大した会話もせずに
翔は自分のベッドに腰を下ろした。

抱きしめたい、好き。

そう思うのに…できなくて…。
俺は楽譜を眺めた。



「…っ!?」



いつのまにか翔は俺のベッドまできて
俺を抱きしめていた。
顔は隠れてて見えないけど。



「てめ…っ!!」


「会いたかったよ、砂月。」


「なっ…」


「砂月は…会いたくなかったから
出てきてくれなかったのか…?」



んなわけないだろ…
会いたくて会いたくて…
那月の隙を見てでようと思ったけど…



「お前に会うのが…怖かった…」


「怖い?」


「お前が好きだから…
那月なんかより俺の方が
お前のこと好きだから。
嫌われたくねぇんだよ…。」



って何言ってんだ…
こんなに弱々しいなんてガラじゃない。



「…っ////」


「?」


「おま…っサラリと恥ずかしい台詞
口にするんじゃねーよ!!」


「……。
好き、翔が好き。」


「はいはい////わかったから。」



ギューッとさっきよりも
きつめに抱きしめられた。

もう少し…このままで――――




fin.

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