歌王子

□早乙女ランドへ!!後
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「じゃあ、那月!
翔のことよろしくね!!」


「はい〜。」



音くんはトキヤくんと手を繋ながら
バイバイと言って観覧車に
乗り込んでいった。

マサくんはレンくんと
乗り、僕たちは一番最後に
乗り込んだ。



「うぅ〜…」



相変わらず震えて僕の裾に
しがみついたままの翔ちゃん。

「大丈夫」といって珍しく
帽子を被っていない頭を撫でると
少し落ち着いて震えも止まっていた。



「あ、翔ちゃん。
前のマサくんとレンくん、
凄く密着してるみたいですねぇ。」


「や…やんねぇよ。」



といいつつも、ギュッと
僕にくっついてきた。

あ、そういうことか…



「頂上…ですか…」


「たけ〜…こぇ〜…しぬぅぅう!!」



ぎゅぅっと目を瞑って
観覧車が下がるのを待つ。

「翔ちゃん」と優しく声をかければ、
空色の大きな瞳をゆらして
僕をみつめた。



「あ、ホラ翔ちゃん!!
もう終わりみたいですよ!!」



お姉さんが一つ一つ
観覧車の扉を開けていく。

僕たちの観覧車の扉が開くと
翔ちゃんは飛び出していった。



「ぜぇ…はぁ…し…死ぬかと…」


「翔ちゃん、大丈夫ですよぉ?
僕がそばについてますから、ずっと。」



ニコッと笑えば泣きそうだった
その顔もつられて笑顔になった。



「さんきゅ。」


「いえいえ。」







「コホン、そ…そういうことは
観覧車の中でやっていただきたい。」


「シノミーもおチビちゃんも
甘すぎるんじゃないか?」




fin.

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