歌王子

□大好き
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「ねぇ、翔ちゃん。」



不意にそう呼ばれて
読んでいた雑誌から目を離した。

そして寝起きである那月を見た。


ねぇ、那月。

どうしてそんなに
悲しそうにしているの?



「僕は翔ちゃんが大好きです。
翔ちゃんは僕のこと嫌いですか…?」



しゅん、と下がる眉。

いつもはあんなに
勢いよく抱きついてくるクセに
こういう時はガラスみたいに
繊細になる。

触れたら壊れてしまいそうな…



「どうしてそう思うんだよ?」


「翔ちゃんが…
僕を…捨てる夢を…見たんです…。
その翔ちゃんの瞳が…
冷たくて…でも僕は何もできなくて…。」


「ばーか。
俺はお前から離れない。絶対。

俺も…お前が…那月が大好きだから。」



壊れるのが怖くて
少し躊躇ったけれど

俺は那月を抱きしめた。



「だから…泣くなよ。」



「ありがとう、翔ちゃん。」




fin.

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