歌王子

□しあわせ探し
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※うたプリSS翔ちゃんルートネタバレ















パパパンッ

たくさんのクラッカーが
花開いて、紙吹雪が俺に降ってくる。



「え?」


「翔!おかえり!」


「こっそり計画していたんです。驚かせちゃってごめんなさい、翔くん。」



隣で春歌がふふっと笑う。

折り紙で飾られた教室とトキヤと真斗が作ったであろう料理。


あぁ、俺生きて帰ってきたんだ。



「翔ちゃん。」


「那月…?」


「……お帰りなさい!」


「ただいま…っ!?」



ふわり、と那月が抱きつく。
だけどいつもみたいにキツくなくて、
割れ物に触るみたいに…そーっと。

気づけばみんながこっちをみていた。



「僕…翔ちゃんが目を覚まさないって聞いたとき…っ…もう心配でっ……」


「那月…」


「みんなでアメリカにいこう、とまで言い出してな。」


「さすがに龍也さんが許してくれなくてね。」


「私達にできることは…祈ることしかできなくて…」


「翔はあんなに頑張ったのに、俺達は祈るだけ…」



あぁ、みんな…
俺がいない間俺のことばっかり考えてくれたんだ…



「でも帰ってきてくれたんです…翔くん…これは夢じゃないですよね…っ…」


「あぁ。」



春歌と那月はボロ泣き。
なんだよ、もらい泣きしちまうじゃねーか。



「意識が無いとき…向こうの医者が、
春歌が送ってくれていたオケとか今までみんなで歌った歌を流してくれたらしい。」



それで、目が覚めるんじゃないかって。

実際、俺はそれで目覚めたわけで。

意識が戻っていなかったとき、不思議な夢を見たんだ。
みんなが暗闇の中俺の手をひっぱっていく。
俺はついていくしかなくて。

辿り着いたのは光の出口。
その出口をくぐると、俺の手をひっぱっていってくれたみんなが消えていた。
かわりに視界に入ってきたのは白い天井と心配そうにのぞき込んでいる看護士の顔。



「みんな…導いてくれて…サンキューな!」


「翔くん…」


「俺が生きてるのはお前らが祈ってくれたからだぜ」



わしゃわしゃと春歌の髪をかき回すと春歌はふふっ、と笑った。




fin.

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