12/16の日記

09:27
粘着系マフィアの死ぬまでネチネチ
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ボカロ曲『粘着系/男子/の/15年/ネチネチ(家の裏で/マンボウが/死んでる/P様)』のパロディです。
曲のネタバレにもなるので、知らない方は聴いてからご覧になっていただけると嬉しいです。
群青ディーノ君の15年(とか優に過ぎる年月)ネチネチ。
本当にネタバレなんで気を付けて読んでください。
内容としては、番外編?後日談?的な話です。





※ネタバレ注意※





※以下よりどうぞ!※






始まりは群青夢主が死んでしまった数ヵ月後から。
ショックは何とか乗り越えたけど、どうにも寂しくて堪らないディーノが手紙を書き始める。
ちょっとした精神安定剤だと思って書き始めたけど、毎日毎日書き続けていたら何だか良いポエムが次から次へと出来上がる。
全部封筒に入れて、愛を込めて(舐めまくった切手を張り)、キャバッローネで夢主が使っていた部屋に置いておく。
毎日書き続けるのが習慣となっていて、敵マフィアが攻めてこようが銃弾飛び交おうが書き続けるディーノのポエム。
どんなもんかと部下が見てみたら、何か滅茶苦茶完成度高い。
というか泣ける。
あんたやっぱり跳ね馬ディーノだよとかなんとか変な感想に調子に乗ったディーノは、SNSに投稿。
数日後にはネット中に広がっていたとさ、めでたしめでたし。
しかしNo.1マフィアキャバッローネはこんなところじゃ止まらない。
キャバッローネの行動力は世界一ィィイ。
ディーノのポエムの一部を雑誌に投稿。
お前らにはマフィアとしての自覚がないのか。
だがその投稿に全米が泣く、世界が泣く。
すぐにポエム集の出版が決まり、そしてノリノリなディーノはオレも歳だしとか何とか言ってマフィアのドンを隠居。
キャバッローネはお前らが率いていくんだよろしく頼むぜ、うおお兄貴ー!みたいな茶番をしながら、ディーノはついに作家デビューをすることになるのであった。

スクアーロが死んでから5年。
ポエム作家として人気を博すディーノさんは、今の自分になんとなく納得いっていなかった。
ただ彼女が好きなだけで書き始めたポエム。
それが今では世界中の人に読まれ愛されている。
作家なら嬉しいことなのだろうが、自分は隠居しようと変わらずマフィアである。
彼女以外に興味もないのに、若い女性にチヤホヤされても何も嬉しくない。
ひじきが生えた大根?
いやいやキクラゲ乗せた白蕪じゃね?
そんな失礼なことを思いつつ、やっぱり毎日毎日欠かさず手紙を書き続ける。
だが無理が祟ったのか、ディーノは体を壊してしまう。
疲労骨折、内蔵の病気。
頭も病気になってないですよね?とか兄弟弟子に言われながらも、それでも毎日毎日手紙を書く。
とうに2000を超えた手紙の山は、誰にも読まれることなく、埃を被った部屋の中でただ静かに眠っている。
虚しいことをしているのは重々承知している。
それでも、彼女を忘れないように毎日毎日記憶を辿り、一つ一つ丁寧に手紙を書く。
作家活動はもうやめた。
意味を見出だせなかったから。
彼女を想いながら手紙を書く。
今日は何かに例えて書こう。
彼女はまるで……えーと、ちょっと考えさせてもらえる?
鮫のように狂暴で、なのに子どものように甘えん坊で、そんな自分を嫌って気高く強い男を演じていた。
思えば思うほど、自分がどれだけ彼女を好きだったかを思い知る。

……ある日、ディーノは事故に遭った。
頭を酷く打って、記憶が全て吹っ飛んだ。
幸い命は助かったものの、全部を忘れた彼に、知人達も皆言葉を失う。
だが一人が呟いた言葉に、ディーノは大きな反応を示した。
それは彼女の名前。
愛する人の名前に反応し、自分は彼女を好きなのだと語る。
しかし好きであること以外の全てを、ディーノは忘れてしまっていた。
声も、顔も、思い出も、……既に死んでいると言うことも。
周りの者達は、真実を教えることは出来なかった。
全てを忘れ、彼女への想いだけを拠り所にする彼に、本当のことを教えるなんてことは出来なかった。
それから、ディーノは毎日毎日手紙を書いた。
昔と同じように、しかし昔の彼とは違い、彼女から返事が戻ってくるのだと信じたままに。

何年も、何年も、戻らない記憶。
ディーノはひたすら手紙を書き続けた。
返事がくることはない。
それでもただただ書き続けた。
忘れてしまった笑顔を求めて、言葉を連ね続ける。
手紙はいつも、手伝いをしてくれている若者が持っていってくれていた。
ふと思う。
彼は本当に手紙を届けてくれているのかと。
返事がないのは、届いてないからじゃないのか?
疑念は深まり、ディーノはついに、若者の跡をつけてとある場所へと辿り着いた。
そこは部屋だった。
若者はそこに入ると、何分もしないうちに出てくる。
あの中に彼女がいる?
恐る恐る、部屋へと踏み入った。
中には……誰もいなかった。
だが、その部屋には見覚えがある。
自分はここを知っている。
ここで、この部屋で、自分は大切な人と共に過ごした。
語らい、笑い合い、同じベッドで眠り、そして……ここで一人泣いた。

そうだ、そうだったのだ。
ディーノは全てを思い出した。
彼女の声も、顔も、暖かな手も、美しい髪も、強かな姿も、……彼女の死も。
彼女を失ったばかりの時のように、ディーノは泣いた。
部屋には今まで自分が書いていた手紙が溢れ返っている。
返事がくるはずもない。
彼女は既にいないのだから。
いくら手紙を積み重ねても、彼女には届かない。
……それでも、いつか届くと信じて、ディーノは手紙を書いた。
次の日も、その次の日も、毎日変わらず手紙を書いた。
いつかこの想いが、この心が届くように。
死んで、もう会うことが出来ないのだとしても、それでも彼女を愛する気持ちがなくなることはない。
例え記憶をなくしても、また会えると思っていた気持ちが潰えても、もう二度と会えないと、幾度現実を突き付けられても、それでも愛し続けると決めたのだ。

恋人への手紙を書き続けて、一体何年の時が過ぎただろう。
年老いて、間近に迫る死を感じながら、ディーノは同じくシワだらけになった弟分へと願う。
自分が死んだら、自分と、そして自分の書いた手紙を全て、一緒に燃やしてくれないか、と。
死後の世界で、もう一度彼女に会ったその時には、どれだけ会いたかったのかと言うことを、手紙と一緒に伝えたいのだと。
毎日一通ずつ、二人で並んで手紙を読んで、一緒に笑い合うのだと。

そうして跳ね馬ディーノは死んだ。
たくさんの手紙と一緒に燃やされて、その魂は天へと昇っていった。
残された者達には、知ることはできないが、きっと彼らは、あの世で仲良く過ごしていることであろう。






_人人人人人人人人人_
> ハッピーエンド <
 ̄Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y ̄


私としたことがハッピーエンド。
まあ海を超えのことを考えれば再会なんてもってのほかで、夢主は毎日のようにデンジャラスな目に遇っているわけですが、それでも満足して死ねたならハッピーエンドなのです。
ネタと言うよりこんなのもありかもなぁ、という話でした。
ちゃんちゃん。

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