05/07の日記

09:28
炊飯器と呼ばないでB
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エネドラちゃんがしゃべった!と思ったら中身の方が諸星であたる的なあの方でクッソ笑いました。
これはもうミラちゃんにラムちゃん衣装着てもらうしかない(確信。
そろそろエネドラちゃんの見せ場も近いのかな!っと思いながら投下です。






「う……動くなよ!絶対そこを動かないでよ!」

お湯を掛けたその瞬間、オモチャから人間へと劇的ビフォーアフターを遂げた彼に、私は素早く動いた。
まずはすぐ側にあったタオルを引っ付かんで、思いっきり彼に向けて放り投げる。
そして更に近くにあった鍋を頭に被り、麺棒を手にとって上記のように叫んだのである。
目の前の彼はどう考えてもヤバイ人だ。
例え顔の造形がそこそこ整っていようと、やたら長くてさらさらの髪とか、作り物めいた2本の角とか、そして何より素っ裸ってのが私の警戒値を一気に引き上げている。
裸とか、変態か。
いや、確実に変態さんだし更に言えば人間ですらない可能性が高い。
というか人間はあんなビフォーアフターもメタモルフォーゼもしない、できない。
警戒マックスで武装をした私だったのだけれども、彼の方は何故か呆れたような冷めたような顔をしていた。
黙ってシンクから抜け出ると、タオルで局部をしっかり隠したままこちらへ向かってくる。
え、いや、向かってこないでほしい!
こっちくるな!向こう行け!

「ななななっ……何で来るのー!」
「うるさいぞメス猿。
お前、こんなもんでこのオレがビビって動けなくなるとでも思ったのか?」
「ひっ!?」

バシッと麺棒が掴まれてしまう。
必死の抵抗も意味をなさず、あっという間に私の武器は取り上げられてしまった。

「チッ!拍子抜けだな。
その怖がりようと間抜け面、お前とオレをこんな姿にした奴は別か。」
「へ!?あ、あなた元々おもちゃの姿だったんじゃ……」
「そんなわけがあるか!
オレは人間だ!」
「にににに人間に角は生えてない!」
「これは後天的なものだ!」

後天的って、つまりピアス穴開けるみたいにおでこに角くっつけたってこと!?
痛そうだな……さてはドMなの!?
って、そんなことをいってる場合じゃなかった。
どうしよう、私の唯一の武器が取られてしまった。
しかも敵は目の前。
どうしよう、さっきから相手はとても乱暴な言葉遣いを続けている。
こ、殺される……?
いや、いやいや、私の人生ここで終わりとか、そんなはずないじゃない。
だって何にも悪いことしてないのに。
というか、こんなマッパの変態さんに殺されるなんて虚しいって言うか無惨って言うか嫌だわ。

「ど、どうする気なんですか……。」
「ああ?」
「こ、殺したりなんて、しないですよね……?」
「……ボルボロスがあれば殺してたがな。」
「ひっ!?」
「この状況でお前を殺すと後々面倒そうだ。」
「そっ!そうですよね!マッパですもんね!」
「黙れお前!」
「ひーっ!ごめんなさい!」

とにかく、殺されることはないみたい。
でも距離を取っておくことは忘れない。
警察に電話しなきゃって考えが、今になってやっと浮かんできたけど、……『殺すと後々面倒』ってことは殺せるけど殺さないってことだと思う。
下手な動きはしない方がいい。
でも逃げれそうなときには逃げた方が良いかな。
幸い私は動きやすいジーンズ姿だけれど、……これも危なさそうだから、やめておこう。

「くそったれが。
おい女、どっかに服ねーのか。」
「ふ、服……取ってきますか?」
「案内しろ。」
「う……はい。」

うぅん、諦めかけてた逃げる絶好のチャンスかとも思ったんだけど、そう甘くはないか。
早くしろ、とのお言葉をいただいて、慌ててキッチンから出て、クローゼットに向かう。

「……ここは民家か?」
「え?」

歩いてる間、後ろから殴られたりしないかビクビクしていると、彼から怪訝そうな言葉が掛けられた。

「い、いえ……あの、ここはペンションで……。」
「ああ?ペンション?」

ペンションって言葉のイントネーションがなんかおかしかった。
うん、さっきから思ってたんだけど、目鼻立ちとか、話の内容からして、彼はもしかして外国の人なんだろうか。
それにしては、日本語が大分上手だけれど。
ペンションも、どうやらしらないみたい。

「えーっと、民宿……なんです。
だから、お客様用の替えの服があるので……。」
「……ふん、そこだけはラッキーだったな。」

本当にな!
できる限り彼の方を見ないように努めながら、心の中で叫んでおく。
もうこの際、オモチャから人間への変化はどうでもいい。
何で全裸だったんだろう。
目の毒だと思う。
そして後ろからのプレッシャーに耐えながらたどり着いた倉庫。
お客様用に置いてある、いざという時のための洋服を取り出して、彼に渡した。

「……チッ、だせぇな。」
「あ……それについては、ごめんなさい。」

いや、だってあくまで『いざという時のため』の服なんだもの。
やっすくてショボいものしかない。
でも黒いTシャツに焦げ茶のコットンパンツは、ダサいって言うよりかは無難なものだと思う。
それが彼に似合ってないのは私の責任ではないし、無駄に伸ばした黒髪と変な前髪と2本の角のせいだと思う。

「おい、靴。」
「え……と、サンダルくらいしか……。」
「はあ?」
「うっ、……仕方ないじゃないですか……。
あくまで予備なんですから……。」
「……くそが!
ったく、あとで調達してくるぞ。」
「ひぅ!?ちょ、調達って……外に出るんですか!?」
「不都合でもあるのか?」
「そ……そりゃ……。」

チラリと彼の頭を見る。
2本の角が天を差している。
……彼が外に出て誰かに見られたその瞬間、騒動が勃発する気しかしない。
どう考えても不味いでしょう。
……でも、そうしたらこの危険人物の存在を知らせることも出来るし、私も逃げられる、かな……?

「えーと、じゃあ車、出すので……。」
「……クルマ?」
「……はい?車、ですけど。」
「なんだそれは。」
「え?……え?」

待って待って、いくら外国の人間だったとしても、それくらいは知ってるでしょう!?
それともあれか!?未開の地の住人!?

「あなた……お故郷はどちらで?」
「アフトクラトルだ。」
「……。」

予想通り聞いたこともない名前だった。
どこよ、それ。

「そもそも世界が違うからな。
お前程度の猿にはわかるわけねーだろう。」
「……。」

この言い様を聞いて、彼を公衆の面前に連れ出すことが、私の中で決定した。
この全裸男を許してはいけない。

「まあクルマとやらは知らねーが、なんかあったら片っ端からぶっ殺していけば良いだけの話だ。」
「……。」

彼の言葉を聞いて、私は速攻で前言撤回した。
こいつを外に連れ出したら不味い。
いや、私の責任、とまでは言わないけれど、不用意に私が彼を連れ出したせいで誰かが死ぬようなことがあったら、それはとてつもなく寝覚めが悪い。

「その、調達に行くのも良いけど、その前にちょっと、お話ししましょう?」
「何でオレがお前と話さなくちゃならねー!?」

その必要があるからです!
泣きそうになりながら必死に訴えた私に気圧されたのか、彼は渋々うなずいてくれたのだった。








ワープ女に刺されまくった後でも反省の色が全く見られません、流石はエネドラちゃん。
アニメ内で在りし日の彼が暴れまくっているのを癒されつつ、何故か切られて爆発するエネドラちゃんの勇姿を心待ちにしております。

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