群青の鮫、番外編

□太陽は夜にも昇る
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私の名前、萩野美奈。
出身、日本。
髪の色、黒、目の色も、黒。
頭は正直、良くない。
背は、まあ普通。
体重、……普通と言っておく。
スタイル……、うん、聞かないでほしい。
そして現在の状況……、全くの、謎。
私は今、見知らぬ路地に立ち尽くしている。

「ここは、どこなのだ……」

問い掛けたところで、答えてくれる人もなし、私はただ、どうしようもなく路地を見渡すことしか出来ないのだった。

「あ、ありのまま今起きたことを話すぜ!『家でのんびりしていたと思ったら薄暗い路地裏にいた』!い、一体何を言っているのかわからねぇと思うが、オレも何をされたのか……じゃないって、マジでドコデスカココー」

途方に暮れて某電柱頭の名台詞を呟いてみても、事態が好転するはずもない。
別に私はジョジョラーという訳でもないから、テンションが上がるわけでもない。
ポケットにあったはずの携帯電話はなくなってしまったいたし、何故かわからないが着てる服もさっきと違う。
というか、本当に状況がわからない。
ココドコ?ワタシダレ?
せめてスタンド能力が目覚めたのならば、この現象を納得することくらいなら出来そうなものなのだが、残念ながらどれだけ力んでもスタンドは出そうにない。

「どーしよ……」

歩いて、お巡りさんを探す。
これが当たり前で、尚且つ最善の行動だと思う、が、私は正直動きたくなかった。
動くと悪いことが起こる。
確信にも似た、そんな予感があったからだ。
だが、ここに立ち尽くしていても何も解決はしない。
仕方ない、動くか。
私は溜め息を吐いて歩き出した。
その時の私が、どの行動を取るのが最善だったのか、それは今でもわからない。
だが1つだけ確かなことは、あの時取った行動は、間違いなく最善ではなかった、と言うことだ。
その数時間後、私は手足を縛られ、猿轡を噛まされ、麻袋の中で声を殺して泣いていた。
私は人拐いに捕まって、売買されるらしかった。
しかも一つ、最悪な事実がわかって私は絶望する。
ここは、この国は、私が生まれ育った日本から遠く離れた、イタリアという国だった。
ピザを食べたり、ローマの遺産を見たり、伊達男達に熱烈に口説かれるよりも早く、私はイタリアの暗部、裏社会、怖い怖いマフィア達に捕まってしまったのだった。
ああ、何て事。
oh my god、なんて、神を信じてやる気にもなれなかった。
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