群青の鮫

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「じゃあ昨日、私達が戦っていた戦闘時間の10分間にボスが発した言葉っていうのは……、」
「『るせぇ』と『面倒くせぇ』の二言だけさ」

代理戦争2日目、なかなか始まらない戦闘に暇をもて余したヴァリアー達は、マーモンに昨日のザンザスの様子を聞いていた。
揺るぎないザンザスの様子に、一同は思わず噴き出し大笑いしていた。

「はっ!ザンザスらしーぜぇ!!」
「今回の代理戦争の時間に細かいルールは、ボスの性格に合わなそうだものねえ〜」
「まー、でも、心配ないぜ。ボスが出る前に、オレ達がかっ消して終わらせてやんよ」

調子よく言ったベル。
そんなんだからお前はペーペーなのだと思ったが、代理戦争前に喧嘩の火種となるようなことを言うべきではないだろう。
スクアーロはそう思い、鼻で笑うだけに留めた。

「だが、オレもこの戦いは正直、気に食わねえな……」
「どういう意味?」
「他人に強制されて戦うのが気に食わねぇ!!あのチェック野郎の思惑が読めねえから、尚更なぁ」
「……確かに、君の言うことは最もだけど」
「わからないことをいつまでも気にしてたら、禿げるぜ先輩」
「余計なお世話だぁ!!」

一言が余計なベルだったが、言っていることは正しい。
居場所もわからないチェッカーフェイスのことに、あれこれ思いを巡らせたところで答えが見付かるはずもない。
舌打ちをしたスクアーロに、ルッスーリアが話を切り替えるように話し掛けた。

「それで隊長、今日の戦いはどうするのかしら?」
「居場所のわからないヴェルデチームと戦うのは難しい。かといってリボーンチームやユニチーム、コロネロチームなんかの同盟を組んでいるチームを狙うのも得策とは言えねぇ。狙うなら風チームかスカルチームだな」
「ムム、それなら風チームはどう?あそこは雲雀恭弥一人しかいないし、居所も把握できているからね」
「そうだなぁ」

話が纏まり、ならばそろそろ動き始めるか、と全員が立ち上がる。
きびきびと動くスクアーロを見て、マーモンは内心で安堵のため息をついていた。
昨日の様子や、気に食わないといった発言に、少なからず不安を抱いていたのだ。
当のスクアーロは、悩み事に関しては保留とし、とりあえず脳の端に追いやっているだけで、問題が解決した訳ではないのだが。
エレベーターホールに向けて彼らが歩き始める。
その途端、腕時計がけたたましく鳴った。

『バトル開始1分前』
「げ、始まっちゃうじゃん!」
「マーモン、雲雀はどこに……」

―― チン…… プシュッ

「!」

開いたエレベーターから現れた人物に、全員が驚きの表情を浮かべる。
いち早く状況を把握したスクアーロが、愉しそうにニヤリと笑った。

「ゔお゙ぉい、これから出向こうって時に……、」
「ししっ、カモがネギ背負って来やがった」
「ヒバリが風背負って、だろ!」
「まんまじゃない……」
「ムムッ、風」
「やあ、マーモン」

そして最後に、好戦的に笑いながら雲雀が言った。

「これはこれで嬉しいな。ここはまるでサバンナだ」
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