群青の鮫

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「おい!しっかりしろ!!」
「タンカを急げ!!」
「怪我人多数だ!!」

10代目ファミリーと、ベルフェゴールや跳ね馬のディーノは、自力で起き上がる。
ただ一人、スクアーロは、ぐったりと床に横たわり動かない。
駆け寄ったディーノは、その口の端から垂れる血を見て慌てて抱き起こす。

「おい、スクアーロ!!返事しろっ!!」
「ディーノ君!スクアーロ君をタンカに!!」

運ばれてきたタンカに乗せるために、男がスクアーロに触れた時だった。
びくりと体が跳ねて、その場から一瞬でスクアーロが消えた……いや、物凄い速さでその場から飛び退いた。

「スクアーロ……!?目が覚めたのか……。いや、それよりお前、大怪我なんだぞ!?動かないで大人しくしてろ!!」
「……?」

荒く息を吐き、困惑した表情で辺りを見回したスクアーロは、だがすぐに、状況が把握出来たのか、フラつきながら立ち上がった。

「ぐっ……。ゔお゙ぉい、ボンゴレリングは……」
「スクアーロ!!無理に動いたらダメだよ!!」
「平気だぁ……!!」

壁を殴り付けて、覚束ない足取りで壊れたリングに歩み寄ったスクアーロは、その破損具合を見て柳眉を逆立てる。
ギリギリと軋むほどに、拳を握り締め、次の瞬間には、9代目の胸ぐらを掴みあげていた。

「なっ……」
「今すぐに、シモン討伐隊を組織しろぉ。あの男を、逃がすわけには……!!」
「落ち着きなさいスクアーロ君!とにかく治療を……!!」
「いらねぇ!!」

ぐいと締め上げるようにシャツを掴んだ拳を更に持ち上げ、怒鳴るスクアーロを慌ててディーノや綱吉が止めにかかる。
どこから力が出てるのか、9代目を掴んだ拳はなかなか外れない。
しかし我に返った9代目の守護者が腕を掴もうとした途端、再び弾かれるようにその場を飛び退った。
そしてそこが限界だったのか、がくりと膝をついて崩れ落ちた。

「ぐぅ……っ」
「スクアーロ!!おい、タンカこっちに持ってきてくれ!!」

床と衝突する前にディーノが受けとめ、やっとスクアーロはタンカに乗せられ、運ばれていった。
その後を、ヴァリアーとディーノがついていく。
嫌な沈黙が、その場を支配していた。
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