群青の鮫

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シャマルとキャバッローネの精鋭医療部隊が、例の病院でオペを行っていると聞き、ロマーリオと共に急行した。
着いた先で受けた報告によると、スクアーロは鮫の体当たりで落ちた時に受身を取り損ねたこと、そして、鮫に襲われたことの両方で傷だらけになっていたらしい。
治療のために服を脱がせたところ、女性であることが判明したとか。

「……本当に女なのか?」
「はぁ……、体は防弾チョッキや仕込み武器などで体型を隠していたようですし、声も低いので今まで気付かれなかったようですが、確かに女です」

オレの心境は『マジかよ』の一言である。
確かに、男にしては声は高い。
体型も分かりづらいし、言動はいくらでも男っぽくできる。
本当に、女だったのか……。
まあ、違ったらシャマルが首突っ込んで来るはずないもんな……。
スクアーロから没収したらしい防弾チョッキと、大量の凶器を眺めながら心の整理を付けようと努力する。
ナイフに脇差し、銃、ワイヤー、スタンガンに怪しげな注射器、折り畳まれているのは槍、だろうか。
これを見て初めて『人間凶器』という渾名を理解する。
なるほど、これは確かにその名に相応しく、凶器だらけだ。
いったいどこに、こんな量を隠していたのだろう。

「ボス、手術が終わるまではかなり時間がかかるようですが、その間だけでも仮眠をとってはいかがですか?」
「医療班の奴らが頑張ってんだぜ?オレだけ寝るわけにゃいかねーだろ」
「ボス、部下のためにも体を休めるのは大切だぜ?」
「……わかったよ、ロマーリオ。んじゃ、ちょっと寝てくるぜ。あとはよろしくな」
「はいっ!」
「ゆっくり休めよボス!」

本当を言うと、色々走り回っていたせいで眠たかった。
それ以上に、スクアーロの隠していた秘密が、あまりにも衝撃で……。
ロマーリオには、どうやら全て見抜かれていたようだ。
オレもまだまだだな。
苦笑を浮かべながら仮眠室に向かう。
起きたら、シャマル達に話を聞かなければ。
スクアーロがしゃべれるようになるまでは、もうしばらくかかるだろうから、アイツに話を聞くのはもっと後になるだろう。
トロトロと眠りに落ちる寸前、頭の中を占めていたのは、やっぱりスクアーロの事だった。
昔、成り行きとはいえ、いじめっ子を倒し、オレを助けてくれたアイツ。
暴れ方こそ派手だったが、今の今まで、バジルも、ツナ達も殺さず、山本の命を助けてくれた。

「オレ、スクアーロに、どうせっすれ、ば、いいん、だろ……。」

普通に話し掛けられるかどうか。
普通に話し掛けて良いのだろうか。
オレがそうなる必要はないのに、不安がストレスとなって内臓を締め付けていた。
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