群青の鮫

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【鬼ごっこ】――子供の遊びの一つ。一人が鬼になって他の者を追いかけて捕らえ、捕らえられた者が次の鬼になってまた追いかけることを繰り返す。明鏡国語辞典より。
何が言いたいかと言うとだ。

「何でオレぁ翌日の昼まで、こんな血生臭ぇ鬼ごっこ続けてるんだぁ……」

気付いたら日が上っていた、とか。
どれだけ熱くなってたんだ、オレは。
だって、若い奴って戦いの中で急成長してくの、面白いじゃん?我を忘れるじゃん?仕方ないじゃん。
なんて、自分自身に言い訳をしている内に、ガキ…バジルっつったか?のブーメランがまた飛んできた。
相手も疲れているのだろう。
攻撃は単調になってきていた。
回転するそれを避けると、コンクリートをガリガリと削り爆煙を立てる。
いくらなんでも、派手にやりすぎだろ……。
まあ、一般人に見られたくないこちらにとっては、効果は覿面だ。
場所も、いつの間にか商店街に移ってしまっていて、こんな目立つところに入り込んでしまった自分を呪う。

「はっ!とりあえず、人通りも増えてきたことだし、さっさと片ぁつけんぞぉ!!」
「グァッ!?」

適当にぶっ飛ばして、また路地裏に入ろうかと思った。
しかし目論みは外れ、バジルは小柄な中学生に当たって停止した。
……また、随分と目立つところに。
目立たない内にズラかる、……のは難しそうだな。
中途半端に放り出すのも問題だ。
どうやって一般人から離れるか、そんな悩めるオレの耳に、とある単語が飛び込んでくる。

「10代目ー!!」
「……10代目?」

10代目、と言ったら思い浮かぶのは、勿論ボンゴレ10代目候補。
候補はザンザスと、日本にいる中学生のガキ。
バジルがぶつかったのも、中学生のガキ。
一度だけ写真で見たその顔を思い浮かべる。
……ああ、なんと言う偶然だろう。
あのガキが、まさか正当後継者?
驚くべき偶然……いや、これはもしかしたら、運命って奴が決めた必然かも知れねえ。
ならばここは、挨拶、してかねぇとなあ?
大きく息を吸い、叫んだ。

「ゔお゙ぉい!!邪魔するカスはたたっ斬るぞぉ!!」

アピールするように剣を振り回す。
悲鳴を上げて、一般人どもは逃げていく。
大分目立っちまったが、邪魔物はいなくなった。
これで思う存分、戦える。
10代目候補どもの実力、このオレが直々に見てやろうじゃないか。
傲慢とも言えることを考えながら、笑みを深めたオレを、奴らが恐れの入り混じった視線で見返してきていた。
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